2025-10-16 コメント投稿する ▼
野田佳彦「安保法制直ちに廃止せず」発言に田村智子が反発―野党の安保論争は何が核心か
立憲民主党(立民)の野田佳彦代表が2025年10月15日、安保法制を「直ちに廃止しなければいけないということではない」と述べました。 両氏の発言は、野党の安全保障政策の溝を浮き彫りにし、次期国会の論点を先取りする形になりました。 これに対し田村氏は、集団的自衛権の行使容認を柱とする同法制の危うさを挙げ、「大軍拡や戦争国家づくりにどう立ち向かうのかが野党に問われている」と強調しました。
立憲・野田佳彦氏が「安保法制直ちに廃止せず」 共産・田村智子氏は「看過できない」
立憲民主党(立民)の野田佳彦代表が2025年10月15日、安保法制を「直ちに廃止しなければいけないということではない」と述べました。
これに対し、日本共産党の田村智子委員長は同16日に国会内で会見し、「わが党として看過できない」と批判しました。両氏の発言は、野党の安全保障政策の溝を浮き彫りにし、次期国会の論点を先取りする形になりました。
発言の経緯と論点
野田氏は、安保法制が施行されたこの10年間で「明らかに違憲の状態だったといえる事例は私の知る限りない」と説明しました。さらに、違憲部分があるなら正すという含みを残しつつも、即時の全廃を否定した点が注目されます。
これに対し田村氏は、集団的自衛権の行使容認を柱とする同法制の危うさを挙げ、「大軍拡や戦争国家づくりにどう立ち向かうのかが野党に問われている」と強調しました。両者の隔たりは、廃止か修正かという政策選択の違いにあります。
安保法制は2015年に成立し、自衛隊法などの改正を束ね、後方支援の拡大や重要影響事態での対応強化を定めました。政府は「切れ目のない対応」を掲げ、国際平和への貢献も目的に含めています。
一方、法律家団体や野党は、立憲主義と憲法9条との整合性を疑問視してきました。法の枠組みや運用が国会で丁寧に検証されてきたか、そして違憲・合憲の線引きが国民に十分説明されたかが改めて問われています。
立民は選挙で政権交代を目指す以上、安全保障でも現実的選択を示す必要に迫られています。野田氏の発言は、即時全面廃止を掲げる勢力との距離を示しつつ、中道路線を探る試みと受け止められます。
対する共産は「即時廃止」を譲らず、ここが選挙協力の条件にも直結します。野党間の政策合意が緩めば、与党に対抗する受け皿づくりは難しくなります。特に、与党側が防衛強化を既定路線にするなか、野党がぶれれば有権者の信頼は戻りません。
「廃止か修正か、はっきり示してほしい」
「安全保障は感情でなく説明が要る」
「選挙のための曖昧さはもう嫌だ」
「専守防衛の意味を具体的に語って」
「現実と理想の落としどころを示せ」
主権者が問うべき三点
第一に、集団的自衛権の行使範囲です。どの事態で、どの程度、武力行使と後方支援を認めるのか、線引きを可視化する必要があります。
第二に、国会関与の強化です。自衛隊の派遣や共同訓練に対し、事前・事後の審査と検証を制度化しなければ、歯止めが働きません。
第三に、外交努力の位置づけです。抑止力の議論と並行して、地域の緊張緩和に資する外交・経済政策をどこまで積み上げるのかを示すべきです。ポピュリズム外交は短期的な人気取りに終わり、国益の長期戦略を損ないます。
自民党政権は防衛費や装備移転を加速させてきましたが、説明責任は十分とは言えません。私は、企業・団体献金に依存する政治が安全保障判断を歪める危険に警鐘を鳴らします。
ドロ船政権に対峙するには、野党こそ法的安定性と予算の優先順位を明快に示し、減税を先行して家計と国内需要を立て直すべきです。給付金の乱発は持続性に欠けます。インボイス廃止やスパイ防止法の早期制定など、国内制度の整備を同時に進め、国民の安心をベースに外交・防衛を設計することが肝心です。
展望と結論
今回のやりとりは、立民と共産の距離だけでなく、日本の安全保障と憲法秩序をどこに落ち着かせるかという国家課題を再提示しました。野田氏が言う「直ちに廃止でない」は、選択肢の幅を残す政治判断です。一方、田村氏の「看過できない」は、理念を守るための明確な線引きです。
相反する主張の間で、有権者が判断する材料は整いつつあります。2025年10月15日と16日の発言を起点に、違憲性の有無に関する具体事例、同盟調整の実態、国会関与の拡充策を、事実に基づき淡々と詰める議論が求められます。理念と現実の橋を具体的な制度設計でかけ直す時です。