2025-09-16 コメント投稿する ▼
大企業の利益は17倍、賃金は停滞 日本共産党・田村智子委員長が「資本論」を掲げ訴え
大企業の利益はこの10年で2倍、30年で17倍に拡大した一方で、労働者の賃金はほとんど変わっていない事実を提示した。 田村氏は「これは搾取以外の何ものでもなく、しかも悪化している」と批判し、「搾取をただす政治を実現するのが日本共産党です」と訴えた。
錦糸町で市民と対話する日本共産党の取り組み
日本共産党は9月16日夕方、東京・錦糸町駅前で「トワイライト街角トーク―いま『資本論』がおもしろい」を開催した。田村智子委員長が登壇し、資本主義の構造や賃上げ問題、社会保障、対米外交など幅広いテーマで市民と語り合った。
会場にはシール投票が設置され、「大企業の利益は30年で何倍になったと思うか」「搾取はあると考えるか」「『資本論』を知っているか」といった問いが並んだ。通行人が立ち寄り、企業利益について「7倍」と予想したり、「搾取はある」と答えるなど、素朴な声が集まった。
田村氏はマイクを握り、「自民党政治を終わらせ、新しい政治をつくることが私たちの目標」と強調。その上で、資本主義の経済システムが格差拡大や地球温暖化を加速させていると指摘し、「このまま資本主義を続けていいのかが問われている」と語った。
大企業の利益は17倍、労働者賃金は据え置き
トークでは「搾取はあるのか」との問いに対し、田村氏は「あります」と明言。大企業の利益はこの10年で2倍、30年で17倍に拡大した一方で、労働者の賃金はほとんど変わっていない事実を提示した。
田村氏は「これは搾取以外の何ものでもなく、しかも悪化している」と批判し、「搾取をただす政治を実現するのが日本共産党です」と訴えた。現場では共感の声も多く聞かれ、通行人は足を止めて耳を傾けた。
市民の声も多様で、次のような反応が寄せられた。
「給料は上がらないのに物価だけ上がっている」
「企業はもうけているのに労働者に還元されない」
「資本論なんて難しいと思っていたけど、意外と身近な話なんだ」
「税金の無駄遣いばかりで国民生活は置き去り」
「大企業優遇の政治を変えないと未来はない」
「資本論」再評価と市民の関心
田村氏は、志位和夫議長の著書『Q&A いま「資本論」がおもしろい』を紹介し、その場で用意された冊子はすべて完売した。資本主義社会の仕組みを読み解く古典的著作『資本論』が、現代の格差や不平等を考える上で新たな関心を呼んでいることが浮き彫りとなった。
今回のイベントでは、「理論が生活にどう結びつくか」を重視する姿勢が見られた。生活費の高騰、住宅ローンや教育費の負担、非正規雇用の不安定さといった課題は、資本主義の構造と無関係ではない。田村氏はこうした日常的な苦しみを「搾取」という言葉で説明し、市民の実感と結び付けた。
大企業利益拡大と賃金停滞をめぐる日本の課題
大企業の利益が17倍に拡大する一方で、労働者の賃金はほぼ横ばいという統計は、日本社会の深刻な課題を映し出している。賃金上昇が伴わなければ消費は伸びず、結果的に経済全体の成長も停滞する。
一方で、政府与党である自由民主党(自民)は企業活動の自由や国際競争力を重視する立場をとってきた。しかし、労働者の生活改善につながらない現状は国民からの不満を高めている。
国際的に見ても、日本の賃金水準はOECD諸国の中で長らく伸び悩んでおり、実質賃金はマイナス傾向が続いている。米国では企業利益拡大に伴い最低賃金引き上げが議論され、欧州でも労働者保護の政策が進む中、日本の取り組みは遅れている。
今回の日本共産党の試みは、こうした停滞の構造に問題提起する形となった。資本主義そのものを問い直す視点を提示することで、市民に考えるきっかけを与えたといえる。
大企業利益と賃金格差に関する最新の議論
賃金の停滞と企業利益の格差は、社会保障の持続可能性や少子化にも直結する問題である。家計が安定しなければ結婚や子育てに踏み切れず、人口減少に拍車をかける。さらに年金制度や医療制度の財源確保にも影響し、社会全体の基盤を揺るがす。
市民の暮らしを守るためには、単なる一時的な給付金ではなく、継続的な賃金上昇を可能にする仕組みが求められている。今回の「資本論」を切り口にした対話は、日本社会における経済の公正さをめぐる議論を活性化させる契機となった。