2025-08-08 コメント投稿する ▼
「相互関税」修正はいつ?玉木雄一郎氏が大統領令の曖昧さを追及|政府に閉会中審査を要求
相互関税問題に疑問残す玉木氏 修正大統領令の時期に懸念 閉会中審査を要求
日米間の「相互関税」問題をめぐり、国民民主党の玉木雄一郎代表が政府の対応に厳しい視線を送っている。米国との経済交渉の進展は評価しつつも、関税修正に関する不確定性を指摘し、国民への丁寧な説明と国会での審議の必要性を訴えた。
玉木氏は8月7日、自身のX(旧Twitter)で赤沢亮正経済再生担当相の発表内容について言及した上で、次のように疑問を呈している。
「合意実現に向けた進展があったことは評価しますが、他方で、
・結局、その修正のための大統領令が出る『適時』はいつなのか
・上記の確認事項について両国間で本当に齟齬はないのか
・確認事項は、何らかの『文書』にしているのか
・いつまで経っても大統領令が出ない可能性があるのではないか
・自動車の分野別関税にも、払い戻しの訴求適用はあるのか」
そして最後にこう訴えた。
せめて、修正のための大統領令がいつ出るのか時期の目処だけでも確約をとっておくべきではないでしょうか。いずれにしても日本経済に大きな影響を与える話です。確認内容について政府側から説明してもらうための閉会中審査を求めます。
この発信は、政府が「成果」とする日米協議に潜む不透明さを浮き彫りにする内容となった。
修正方針を示した赤沢大臣 しかし具体性に乏しく
今回問題となっているのは、米国が導入した「相互関税」に関する大統領令の運用だ。赤沢大臣が訪米し、米閣僚と面会した結果として、次のような内容が日本側に伝えられた。
* 現行の大統領令が日米間の合意内容と異なる点を、日米双方が認識し、遺憾の意を示した
* その修正のために新たな大統領令を「適時」に発出する
* すでに徴収された過剰な関税については8月7日に遡って払い戻す
* 同タイミングで、自動車関税を引き下げる大統領令も併せて出す予定
この発表内容だけを見ると、一見、日本側の主張が通ったように見える。しかし、「適時」とは具体的にいつなのか、「払い戻し」が実際にいつ、どのような形でなされるのかは一切明示されていない。
「文書なき合意」のリスクが表面化
最大の問題は、今回の取り決めが「書面での正式合意」ではなかったことにある。複数の報道によれば、日米間で取り交わされた合意事項は文書化されておらず、いわゆる「口頭の確認」に留まっていた。これが後に大統領令の内容と齟齬を生む結果を招いた。
実際、米側が発出した大統領令には「日本向け」特例が記されておらず、EUや韓国には明示的に適用条件が記載されていたことが混乱を助長した。合意の不在、あるいは形式的な確認だけでは、通商政策のような繊細な分野においては大きなリスクとなり得る。
「払い戻し」の中身も未定 企業や業界に不安広がる
また、払い戻しについてもその詳細は依然として不透明だ。対象となるのはどの産品か、申請方法はどうなるのか、時期はいつか──いずれも明らかにされていない。とくに懸念されているのは、自動車関税の引き下げについても、同様に「訴求適用」があるのかどうか。これについて玉木氏は明確な情報公開を求めている。
国内の自動車業界からは、「急に15%の関税が乗って価格競争力が落ちた」「早期に引き下げてくれないと北米市場で不利だ」といった声も上がっている。これに対して政府は「調整中」とするだけで、明確な説明はない。
国会閉会中も審査を 玉木氏が政府の説明責任を促す
このような状況を受けて、玉木氏は国会閉会中にもかかわらず、政府に対して説明の場を設けるよう求めた。
確認内容について政府側から説明してもらうための閉会中審査を求めます。
閉会中審査は、本来、緊急性の高い問題や国民生活に重大な影響を及ぼす事案について実施されるものであり、今回の相互関税問題はまさにそれに該当する。とくに関税制度の変更は企業の事業計画に直結するだけでなく、国民の暮らしにも影響する。
「成果強調」に傾く政府 野党から厳しい視線
政府は今回の訪米結果を「一定の前進」と評価し、赤沢氏も「両国が認識を共有できたことが重要だ」と述べた。だが、与党内からも「修正がいつになるのか不明なままでは企業は動けない」という声が上がっており、玉木氏の主張は決して少数派ではない。
国際交渉では、合意内容をいかに文書化し、履行させるかが極めて重要だ。それを怠れば、たとえ言葉の上で「合意した」としても、相手国の政権が交代すれば反故にされかねない。
政治的にも問われる「交渉力」と「説明力」
今回の件は、単なる通商問題にとどまらず、政権の「外交交渉力」や「国民への説明責任」が問われるテーマだ。赤沢大臣がどれほど米国側に迫ったか、またその成果がどう文書に残されたのか、それを国民にどう説明するのか――これらの一つ一つにおいて、野党からのチェックが働くのは当然のことだ。
仮にこのまま修正の大統領令が出されず、関税が課され続ければ、政府は企業からの強い反発を受けることになる。あるいは、選挙戦でも「外交失敗」として野党の攻撃材料になることは避けられない。
日米交渉の「空白」を埋める責任は政府にある
今回の玉木氏の指摘は、交渉内容の曖昧さ、情報公開の不足、そして国民の不安に政府がどう向き合うのかという、本質的な問題提起だ。
「進展があった」と胸を張るには、まだ政府の説明は不十分だ。「いつ大統領令が出るのか」「それはどのような内容か」「自動車など他の分野にも波及するのか」──これらの疑問に正面から答えない限り、国民の不信感は拭えない。
今こそ政府には、国会での説明を含め、交渉の全貌と今後の見通しを国民に明らかにする責任がある。