2025-07-07 コメント投稿する ▼
年少扶養控除の復活は実現するか?玉木雄一郎氏が掲げる子育て世帯への税負担軽減策とは
玉木雄一郎氏が掲げる「年少扶養控除の復活」 子育て世帯への税負担軽減を訴える理由とは
国民民主党の玉木雄一郎代表が、参院選を前に掲げる重要政策のひとつが「年少扶養控除の復活」だ。SNSでもこの週末、「復活を求める声が多く寄せられた」として、改めてその必要性を訴えた。
年少扶養控除は、かつて16歳未満の子どもがいる場合に認められていた所得税・住民税の控除制度ですが、今は廃止されています
インフレで子育てのコストも生活コストも上がっています。子どもの生存権を保障するためにも、国民民主党は年少扶養控除を復活させます
投稿ではこう述べ、控除制度が廃止された現状に疑問を呈しつつ、子育て世帯の支援強化を強調した。
年少扶養控除とは?その意味と廃止の経緯
年少扶養控除とは、16歳未満の子どもを扶養している世帯に対して、所得税や住民税を軽減する仕組みだった。以前は子ども1人につき年間38万円が所得控除の対象となっていたが、2010年から段階的に廃止され、現在ではこの年齢層の扶養控除は認められていない。
廃止の背景には、当時導入された「子ども手当」との調整があったとされる。しかし、その後の制度変更や手当額の減額などにより、実質的に子育て世帯の税負担軽減策が後退したとの指摘も根強い。
なぜ今、扶養控除の復活が求められているのか
ここ数年の物価上昇や円安によって、教育費や日常の生活コストが大幅に上昇。中間層を中心に「実質可処分所得が減っている」との実感が広がっている。そんな中、子どもを育てる家庭では、食費や学用品、保育・習い事費用など負担が重くのしかかっている。
玉木代表はこうした現状をふまえ、
この制度は、憲法25条の生存権に基づき、最低限の生活費には課税しないという趣旨で設けられていました
と投稿で触れ、制度廃止が子どもの生存権に逆行しているとの立場を明確にした。生活保障の観点からも、復活すべき制度だというのが彼の主張だ。
国民民主党のこども政策と「こども減税」構想
国民民主党は参院選の政策集において、所得税の軽減と併せて「年少扶養控除の復活」を打ち出している。「給付」だけでなく「控除」による支援の必要性を強調し、働く世代の実質手取り向上を掲げているのが特徴だ。
たとえば、2人の子どもを持つ共働き世帯の場合、扶養控除が復活すれば年間数万円以上の減税効果が期待できるケースもある。玉木氏はこれを「合理的で分かりやすい制度」と位置づけ、選挙戦でも繰り返し訴えている。
生まれた子どもの数に応じて税負担が下がっていく、極めて合理的な制度です
という投稿からも、実務家としての政策構想がうかがえる。
制度の課題と今後の展望
もちろん、制度を復活させるには予算措置が不可欠であり、他の社会保障施策や財源とのバランスも重要になる。現金給付の「児童手当」などと異なり、控除はあくまで「課税所得がある世帯」に限定されるため、「低所得層への恩恵が薄いのではないか」との指摘もある。
そのため、今後は控除の対象範囲や控除額の見直し、児童手当との併用など、制度設計の柔軟さが求められるだろう。
また、玉木代表は投稿の中で、
予算を伴う法案を参議院に提出するためには、非改選議員5名以外に16人の当選者が必要
と述べ、制度復活に向けた政治的ハードルにも言及。国民民主党が法案を提出し、実現にこぎ着けるためには、参院選での議席拡大が不可欠であることを訴えた。
他政党との違いと政策競争
与党である自民党や公明党も「子育て支援」を掲げてはいるが、現状では現金給付や保育無償化が主軸で、税制面での改革は進んでいない。野党第一党の立憲民主党も、直接的な控除復活には踏み込んでいない。
一方、国民民主党は「子どもがいるほど税金が安くなる社会」を掲げ、働く世代への支援を打ち出しており、明確な差別化を図っている。
政策に必要なのは“分かりやすさ”と“実効性”
年少扶養控除の復活は、制度として理にかなっており、家計への即効性が期待できる政策だ。しかし、その存在自体を知らない有権者も多く、SNS上では「もっと簡単に説明してほしい」「実際いくら戻ってくるのか知りたい」といった声もある。
制度が広く支持されるためには、控除額や対象者、実際の減税効果などを具体的な数字で示し、視覚的に伝える工夫が求められる。玉木代表の発信は政策意図が明確なだけに、今後はその「伝え方」と「制度設計の細部」に注目が集まりそうだ。
「年少扶養控除の復活」は、現代の物価高騰や育児負担の実情を背景に、再評価されるべき制度だ。玉木雄一郎氏が掲げるこの政策は、憲法に根ざした「最低限の生活保障」という視点をもとに、家計を支える現実的な手段として期待されている。
参院選の結果次第で、この構想が実現に向かうのか。政策としての評価だけでなく、有権者がどれだけ「納得し、共感するか」が問われる選挙となりそうだ。