2025-05-28 コメント投稿する ▼
「選択的夫婦別姓」に国民民主が独自案 戸籍制度維持で“中道保守”の現実解を提示
戸籍制度を軸にした夫婦別姓案 国民民主が独自の一手
国民民主党は5月28日、選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正案を衆議院に提出した。立憲民主党や日本維新の会がすでに提出していた同趣旨の法案と合わせ、近く法務委員会で審議に入る見通しだ。
この国民民主案が特徴的なのは、「戸籍制度を守る」という前提に立ちつつ、個人の選択を認めようという姿勢だ。保守層の価値観を考慮し、夫婦別姓を望むカップルでも戸籍の統一性を保てるよう、婚姻時に戸籍の筆頭者を定め、その姓を子どもに自動的に引き継がせる仕組みを設けた。姓の自由と家族の一体感、そして制度の安定性をどう両立させるか——この問いに対する“現実的な折衷案”を示した格好である。
記者会見で浜口誠政調会長は「戸籍の維持は譲れないが、柔軟性も必要だ」と訴え、党内の調整と保守支持層への理解を重視したと説明した。法案の提出を後押しした円より子衆院議員も、「保守というのは、本来もっと懐が深いもの。受け止めてくれると信じている」と強調した。
3案が国会で並ぶ異例の展開
今回審議入りする3つの案はそれぞれの立場を映し出している。立憲民主党案は、戸籍の柔軟性を広げつつ、結婚した当事者の希望を最大限尊重する構えだ。一方、維新の会は制度の根幹には触れず、旧姓の使用拡大による“便宜的対応”にとどめている。国民民主党はその中間で、制度を壊さずに多様な生き方を認めようという立ち位置だ。
だが、最大のハードルは、法案の審議を経ても採決に至る可能性が極めて低い点にある。与党である自民党と公明党は党内意見の対立から、いずれの案にも賛成できない状況だ。形式的には「慎重に議論を深めるべき」としているが、実質的には事実上の棚上げが続いている。
“中道保守”としての独自色
国民民主党は、昨年の衆院選で保守票の一部を獲得したが、最近は支持基盤の揺らぎも指摘されていた。そうした中で今回の法案提出は、従来の価値観を否定せずに新しい選択肢を認めようとする、“中道保守政党”としてのスタンスを明確にする狙いもある。
政治的には、立憲・維新との協調を一線で引きつつ、自民党にも歩み寄れるような形をとったとも言える。夫婦別姓はイデオロギー色の強い争点だが、国民民主は「対立」よりも「調整」を重視しているのだ。
SNSではさまざまな声が噴出
ネット上では、今回の国民民主案をめぐって多様な反応が上がっている。
「戸籍を守るっていう姿勢がいい。これなら別姓も現実味がある」
「なんでも自由にすればいいって話じゃない。バランスが大事」
「他党の案より現実的かも。でも与党が乗らないなら無理筋」
「維新の旧姓利用案は時代遅れ。国民民主の方がまだまし」
「子どもの姓が最初から決まるなら、混乱も少なそう」
このように、制度としての現実性や家族観の尊重を評価する声がある一方で、与党の非協力姿勢に懐疑的な意見も見られる。
制度の前進なるか、次の焦点は与党の対応
いずれの案も今国会での成立は厳しいと見られているが、審議入りするだけでも画期的とする見方もある。実に28年ぶりの「選択的夫婦別姓」本格審議。政界における家族観の再定義が、ようやく議論のテーブルに上がり始めた。
国民民主の現実路線が、世論と与党の間にどこまで届くのか。今後の法務委員会での議論が注目される。