2025-05-03 コメント投稿する ▼
若者減税は就職氷河期世代切り捨てではない 国民民主が法案提出と同時に強調する本当の狙い
若者減税法案の提出とその背景
国民民主党は2025年4月10日、30歳未満の若者を対象に所得税の基礎控除を引き上げる「若者減税法案」を衆議院に提出した。この法案は、若者の税負担を軽減し、可処分所得を増加させることで、消費の活性化や少子化対策を図ることを目的としている。玉木雄一郎代表は、法案提出後の記者会見で「若い人たちの生活や仕事をしっかり応援し、人生のスタート時期における経済的負担を減税措置で支援していく」と述べた 。
就職氷河期世代からの批判と党の対応
しかし、法案の対象が30歳未満に限定されていることから、SNSを中心に「就職氷河期世代を見捨てるのか」との批判が相次いだ。特に、非正規雇用や低賃金に苦しんでいる就職氷河期世代からは、不満の声が上がった。これに対し、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、「就職氷河期を裏切るなんてとんでもない」と述べ、昨年6月に就職氷河期世代に関する提言を取りまとめたことを強調した 。
また、玉木代表も「就職氷河期世代のみならず、対象から外れていると感じられる人に対して誤ったメッセージを与えてはならない」と述べ、すべての現役世代に気配りする姿勢を示した 。さらに、国民民主党は就職氷河期世代に特化した公式YouTubeチャンネルを開設し、情報発信を強化している 。
減税政策をめぐる与野党の動向
参院選を約3ヶ月後に控え、与野党ともに「減税」の声を高めている。自民党内では「食料品などの消費税の減税」を求める声が上がり、公明党も「減税を実現する」と発表した。一方で、野党各党も消費税減税に賛成の姿勢を示している。立憲民主党は食料品の消費税を原則1年間0%に、日本維新の会は2年間限定で食料品の税率を0%に、国民民主党は消費税を一時的に一律5%に、れいわ新選組は消費税廃止、共産党は消費税の一律5%を主張している。
このように、各党が減税を主張する中、参院選の争点が明確になりにくい状況となっている。政治部記者は「間違いなく争点は物価高対策になると思うが、争点があるようでないような状況」と分析している。また、参院選での「野党議席の最大化」のカギを握る、32ある一人区での野党候補一本化も難しい状況である。立憲民主党と国民民主党は企業・団体献金などの政策でも折り合えず、連携が難しい状況だという。
国民民主党が提出した「若者減税法案」は、若者の経済的支援を目的としたものであるが、就職氷河期世代からの批判を受け、党はすべての現役世代に対する支援の姿勢を強調している。今後、参院選に向けて各党の減税政策がどのように争点化されるか、注目される。