2025-04-27 コメント: 1件 ▼
立憲民主党の時限的消費税ゼロ案に効果なし 貯蓄偏重と生産者廃業リスクが深刻
立憲民主党の「時限式消費税ゼロ」政策に現実味なし
立憲民主党が打ち出した「食料品の消費税を1年間限定でゼロにする」政策に対し、効果に疑問の声が相次いでいる。国民民主党の玉木雄一郎代表も27日、自身のX(旧ツイッター)で「効果はそれほど大きくない」と指摘。専門家や生産者からも、同様の懸念が広がっている。
消費者行動:「減税分」は結局貯蓄に
玉木氏は、食料品の支出額を試算し、「1人当たり年間約2万円強の負担減」にしかならないと指摘した。しかも、消費税減税によって得られる可処分所得の増加分は、多くの場合、消費ではなく貯蓄に回される傾向が強い。
これは日本銀行の家計調査でも裏付けられており、過去の給付金施策でも「将来不安から消費が伸びず、預貯金に回った」という結果が繰り返し観測されている。立憲民主党の提案は、経済全体の需要を押し上げる効果が極めて限定的であるといえる。
生産現場の実態:「生産者も消費税を払っている」
食料品を生産する過程においても、生産者は肥料、飼料、燃料などの購入時に消費税を支払っている。しかし立憲民主党の案では、消費者向け販売価格にかかる税だけを免除するため、生産コストに含まれる消費税分まではカバーできない。
そのため、卸売価格や生産現場でのコスト圧力は全く解消されず、単に小売価格の一部を抑えるだけに留まる。物価高騰対策としての効果は極めて薄い。
弱い立場の生産者はさらに苦境に
さらに深刻なのは、価格転嫁力の弱い生産者への打撃だ。消費税減税により小売価格が下がれば、市場ではさらなる値下げ圧力が働き、生産者がコスト増を価格に反映できなくなる可能性が高い。
この結果、小規模農家や中小零細の食品業者が採算割れに陥り、廃業に追い込まれるリスクが懸念される。特に地方の農業や漁業においては、事業継続が困難になるケースも出かねない。
抜本的対策には「所得の引き上げ」こそ必要
玉木氏が主張するように、消費税の一時的なゼロ化ではなく、恒常的な「所得引き上げ」や「税制全体の見直し」が求められている。特に「年収の壁」を超えた労働参加促進策や、所得税・社会保険料の軽減こそが、根本的な生活改善策といえるだろう。
- 立民提案の1年限定食料品消費税ゼロに効果疑問
- 減税分は消費に回らず、貯蓄に流れる傾向
- 生産者負担は減らず、物価高対策にもならない
- 価格転嫁できない弱者が廃業するリスク
- 真に必要なのは「所得の引き上げ」など抜本的改革