2025-04-24 コメント投稿する ▼
夫婦別姓は家族を壊す?伝統と多様性の狭間で揺れる制度論議
選択的夫婦別姓に慎重な声 伝統的家族観の崩壊を懸念
連合の芳野友子会長は24日、国民民主党の玉木雄一郎代表と国会内で面会し、選択的夫婦別姓制度の早期導入を要請した。だが一方で、この制度導入には根強い反対意見も存在する。社会の基盤である家族の在り方をめぐっては、伝統的価値観と制度改革の間で議論が分かれている。
家族制度の根幹に関わる問題
選択的夫婦別姓制度とは、婚姻後も夫婦が別々の姓を名乗ることを選べる制度である。現在、日本では法律上、夫婦は同姓である必要があるが、選択制導入を求める声が一定の層からあがっている。一方で、これに対し否定的な立場をとる保守層や識者は「家族という最小単位の社会組織の一体感が失われる」と警鐘を鳴らしている。
反対派の意見では、夫婦が別姓となることで、子どもの姓や学校での混乱、行政手続き上の煩雑化、そして何よりも「家族は一つの単位として行動すべき」という社会的常識が損なわれるとされる。これまで同姓がもたらしていた一体感や連帯意識の希薄化は、結果として家庭の分断につながりかねない。
芳野氏の訴えに潜む矛盾
芳野会長は、選択的夫婦別姓を導入しても「家族の在り方は変わらない」と述べた。しかし、これは制度の本質に向き合っていないとの批判もある。夫婦が異なる姓を名乗れば、当然ながら家庭外から見た時の「家族としての一貫性」は失われる。子どもの姓がどちらになるかをめぐって親族間の争いが生じる例も海外には存在しており、現実的な課題は無視できない。
また、芳野氏は3月の自民党大会でも制度導入を訴え、今月には公明党や立憲民主党の代表にも同様の要請を行っている。だが、このようなロビー活動が「少数の声を大きく見せているだけではないか」との疑問もある。
国民民主党の姿勢と矛盾
国民民主党は23日の会合で、夫婦が希望すれば別姓を選択できる制度を軸に党内意見を集約する方針を決定した。玉木代表は「与野党を超えた幅広い合意形成が必要」と述べつつも、芳野氏に対しては「議論を成果につなげたい」と前向きな姿勢を見せた。しかし、同党が掲げる「保守中道」の理念とは一線を画す政策推進であり、支持層との軋轢を生む可能性もある。
制度導入の前提には、家族制度が抱える課題や、現行制度での救済策の不十分さなど、丁寧な検証が求められる。一部の利便性や希望だけを根拠に、長年培われた制度や価値観を根本から変えるべきかどうか、国民的議論が不可欠である。
- 芳野友子会長が選択的夫婦別姓制度の導入を玉木代表に要請。
- 同姓制度は家族の一体感や社会的秩序を支える基盤との指摘あり。
- 別姓による家庭内・社会的混乱の懸念が存在。
- 「少数意見が制度を変えるべきか」という点で慎重論も強い。
- 国民民主党の方針は支持層との齟齬を生む恐れ。