2025-12-11 コメント投稿する ▼
玉木雄一郎氏が示すドーマー条件の危機 財政持続性と成長戦略の核心とは
名目GDP成長率が名目金利を上回る状態、すなわちg > rの関係が続く限り、財政規律は大きく崩れないという考え方がドーマー条件です。 資本投入についても日本は0.1で、米国の0.8との差は大きく、企業の投資不足が長年の課題となっています。 これらは単なるスローガンではなく、ドーマー条件のg > rを維持し続けるための具体的な解であると玉木氏は強調します。
玉木雄一郎氏が示したドーマー条件の死角と財政の持続性
国民民主党の玉木雄一郎代表が2025年12月、財政の持続可能性を考えるうえで避けて通れない「ドーマー条件」の危機について警鐘を鳴らしています。名目GDP成長率が名目金利を上回る状態、すなわちg > rの関係が続く限り、財政規律は大きく崩れないという考え方がドーマー条件です。高市早苗総理も国会でこの理論に言及しましたが、玉木氏は条件が自然に成立するわけではないと強調し、期限つきの現実的な問題として提示しています。
「今のままでは借金が膨らむXデーが見えている」
「成長を維持しなければドーマー条件は崩れる」
「日本の投資不足は深刻だと思う」
「働き控えが成長を止めている実感がある」
「未来への投資を増やさないと国が持たない」
内閣府試算では、現在の政策を前提にするとg > rが成立するのは過去投影ケースで2027年まで、成長移行ケースでも2032年までとされ、数字が示す現実は厳しい状況にあります。玉木氏が予算委員会で成長戦略の期限をただした背景には、成長率が金利を下回る日が近づいている危機感があります。
潜在成長率を阻む「労働」と「投資」の壁
ドーマー条件を維持するために最も重要なのは成長率の引き上げです。名目GDP成長率を3%に乗せるには2%の物価安定目標と1%の潜在成長率が必要ですが、現在の日本の潜在成長率は0.3%にとどまっています。要素を米国と比較すると、労働投入と資本投入の差が成長を妨げている構図が鮮明になります。
労働投入は日本がマイナス0.4である一方、米国は0.8です。就業者数が増えても労働時間の減少が成長を押し下げる結果となっています。資本投入についても日本は0.1で、米国の0.8との差は大きく、企業の投資不足が長年の課題となっています。技術革新を示す全要素生産性は日本と米国で大差がないため、投資と労働供給の改善が急務であることは明らかです。
玉木氏が唱える「新・3本の矢」が示す処方箋
玉木氏が提案する政策パッケージは、潜在成長率を構成する要素に直接働きかける内容です。第一に「年収の壁突破」を掲げ、働き控えを解消して労働供給を増やす方針を示しています。第二に「大胆な国内投資減税」で企業の投資を後押しし、資本投入を押し上げる狙いです。第三に「教育・科学技術予算の倍増」によって将来の成長力の源泉である技術力を底上げし、全要素生産性を強化します。
これらは単なるスローガンではなく、ドーマー条件のg > rを維持し続けるための具体的な解であると玉木氏は強調します。インフレによって偶然成立したg > rの状況は永続するものではなく、成長戦略次第で容易に逆転します。財政破綻を防ぐには、成長を「確実に作り続ける構造」への転換が不可欠です。
財政破綻を防ぎ、日本の未来を守るための課題
玉木氏が訴える根本の問題は、財政が自然には安定しないという現実です。g > rが崩れれば、借金の対GDP比率は拡大に転じ、財政悪化を抑える手段が限られていきます。財政運営の安定には歳出改革だけでなく、経済の成長力が欠かせません。企業の投資促進、人材育成、科学技術の後押しなど、長期を見据えた取り組みが今後の日本に求められています。
特に日本のように高齢化が進む国では労働供給の確保が難しく、労働投入の減少は成長率に深刻な影響を与えます。投資の不足は技術革新のスピードを鈍らせ、競争力の低下を招きます。ドーマー条件が示すのは数字だけの話ではなく、国の持続性を守るための根本的な視点です。
玉木氏が国会で問い続ける「いつまでに、どうやってGDPを伸ばすのか」という問いかけは、まさに財政の安定と未来の安心を守るための重要な視点です。国の財政が持続可能であるためには、成長戦略と財政政策を一体として考える発想が欠かせません。