2025-11-09 コメント投稿する ▼
玉木雄一郎代表が高市政権おこめ券構想を痛烈批判 「猫の目農政をやめろ」備蓄米放出政策の迷走指摘
国民民主党の玉木雄一郎代表が11月9日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で、高市政権が経済対策に盛り込む方向で調整している「おこめ券」構想について厳しい批判を展開した。「大臣が代わるたびに方向性が変わる『猫の目農政』をやめるべきだ」と強調し、石破茂前首相や小泉進次郎前農水相が推進した備蓄米放出について「何だったんだ」と疑問を呈した。
おこめ券構想の詳細が明らかに
政府関係者によると、政府は11月下旬にとりまとめる総合経済対策に、高止まりするコメ価格への対応として「おこめ券」の活用を盛り込む方向で調整している。既存の重点支援地方交付金を拡充し、自治体が自由に使い道を決められる仕組みの中で、「おこめ券」を政府の推奨事業として位置付ける方向だ。
この構想は鈴木憲和農林水産相が以前から提唱していたもので、木原稔官房長官と鈴木氏が11月6日に会談し、大筋で合意したという。象徴的な物価高対策として打ち出したい考えで、石破前政権が備蓄米放出によって米価引き下げを急いだことに農家などが反発していたことも背景にある。
今後はコメ以外の食品にも使える商品券や電子クーポンの形で推奨することも検討されており、コメを前面に出さない可能性もある。鈴木農水相は「米価について『マーケットのなかで決まるべきもの』とし、問題はコメの多様化が遅れて低価格帯の商品が少ないこと」と主張している。
備蓄米大量放出への疑問
玉木代表が特に問題視したのは、これまでの農政の一貫性のなさだ。石破前首相と小泉前農水相は、コメの高止まり対策として備蓄米の大量放出を推進してきた。備蓄米は平時には約100万トンを維持することが目安とされていたが、2025年6月には20万トンの追加放出が決定され、倉庫には10万トン程度しか残らない状況となった。
玉木代表は「備蓄米を出せ出せと言って出したけど、結局(米価は)元に戻っている。で、100万トンあった備蓄が今は、2、30万トンで、倉庫はすっからかん。この間のこれは何だったんだ」と厳しく批判した。実際に備蓄米の5キロ2000円での放出は一時的な効果しか上げられず、現在の米価は再び5キロ4000円を超える水準で高止まりしている。
この問題について、農業関係者からも「食料安全保障の観点から備蓄米をほぼゼロにしてしまったのは大きな問題」との指摘が出ている。災害時や有事の際に主食の備蓄がない状況は、国家の危機管理能力を問われかねない。
価格政策から所得政策への転換を主張
玉木代表は根本的な農政改革の必要性についても言及した。「国がある程度価格をコントロールすることをやめるべきだ」と述べ、現行の減反政策を批判した。鈴木農水相が「価格は市場に任す」「需要に応じて」と発言している一方で、「生産数量目標の割り当て、目安を出して、一定程度事実上の減反を続けている」矛盾を指摘した。
玉木代表は「価格を国がコントロールして、ある意味高い値段を維持して、消費者負担で農家の所得を補償するという基本的なやり方を変えないと、コメの高止まりは変わらない」と強調した。その上で「資材価格も上がっている。農家の再生産可能な所得は補償する必要がある」とし、「価格をコントロールする価格政策から、所得を直接国が補償する所得政策に大きく変わる方向に(舵を)切らないと、この問題はいつまでも続く」と具体的な解決策を示した。
国民の声と政策への疑問
この農政をめぐる混乱について、国民からは様々な声が上がっている。
「おこめ券なんて配っても根本的な解決にならないでしょ。また税金の無駄遣いだ」
「備蓄米を全部出してしまって、災害の時はどうするつもりなんだろう」
「玉木さんの言う通り、政策がコロコロ変わりすぎて農家も困ってるよ」
「減税のほうがよっぽど効果的なのに、なんでわざわざ手間のかかることをするのか」
「所得補償に変えるって言うけど、それも結局バラマキになりそうで心配だ」
玉木代表の指摘は、農政の構造的な問題を浮き彫りにしている。減反政策による価格維持は消費者負担を増大させる一方で、農家の経営基盤強化にはつながっていない。また、大臣が交代するたびに政策方針が変わることで、農業者の長期的な経営計画策定が困難になっている実態がある。
食料安全保障への懸念
備蓄米問題は食料安全保障の観点からも深刻だ。専門家は「備蓄米を全量放出すれば、食料だけでなく安全保障の根幹が揺らぐ」と警告している。災害や有事の際に主食の備蓄が全くない状況は、国家の危機管理として問題があるとの指摘も多い。
小泉前農水相は「需要があれば無制限で出す」と主張していたが、その結果として国家の食料安全保障能力が著しく低下したことは否定できない。現在、政府は輸入によって対応する方針を示しているが、国際情勢の不安定化や自然災害時には輸入に頼れない可能性も指摘されている。
玉木代表の批判は、一貫性のない農政運営と、根本的な構造改革を避け続ける政府の姿勢に向けられている。「おこめ券」という対症療法的な施策ではなく、価格政策から所得政策への抜本的な転換こそが求められている状況だ。