2025-10-07 コメント投稿する ▼
国民民主党がスパイ防止法中間報告 玉木雄一郎氏「外国勢力から日本を守る盾を」
国民民主党は7日、国家機密を保護し外国勢力の浸透を防ぐための「スパイ防止法」制定に向けた中間報告を公表しました。 国民民主党は、これらの法整備を「国家主権の再構築」と位置づけています。 スパイ防止法の制定をめぐっては、自民党の高市早苗総裁も意欲を示しています。 国民民主党は今後、臨時国会または来年の通常国会での法案提出を目指すとしています。
国民民主、スパイ防止法制定へ中間報告
国民民主党は7日、国家機密を保護し外国勢力の浸透を防ぐための「スパイ防止法」制定に向けた中間報告を公表しました。報告には、外国勢力の活動や保有資産を明らかにする法整備、政治・選挙介入の防止、情報機関の強化など7項目の提言が盛り込まれています。党として今後、国会への法案提出を目指す方針です。
玉木雄一郎代表は記者会見で、「さまざまな外国勢力からの“盾”を作っていかなければならない。情報を守ることが国の安全保障の根幹だ」と述べました。同党は今年7月の参院選公約にスパイ防止法制定を明記しており、今回の報告はその具体化の第一歩と位置づけられます。
中間報告は「国民の自由と人権の尊重」「国家の存立と主権の防衛」「情報活動の最前線で働く者の保護」を三本柱としました。党内の安全保障調査会を中心に、政府・与党内の専門家からも意見を聴取したとされています。
「国民の自由と安全は対立概念ではない。自由を守るためにも、法で情報を守る仕組みが要る」
「スパイ活動は実際に起きている。企業や研究機関が狙われている現状を直視すべきだ」
「情報が漏れれば、外交も産業も一瞬で崩れる。危機感を持って議論してほしい」
「SNSなどを使った外国勢力の世論操作は現実の脅威だ。透明化が欠かせない」
「自由と人権の尊重を掲げつつも、国を守る覚悟を欠いては意味がない」
報告書では、外国勢力の政治・選挙介入を「民主主義をおびやかす新たな脅威」と明記しました。政府が外国勢力の活動を把握できる仕組みの構築や、SNS上で自動的に投稿する外国製ボットなどを可視化する法制度の必要性も盛り込みました。また、政府に「国家インテリジェンス戦略」の策定を求めています。
国民民主党は、これらの法整備を「国家主権の再構築」と位置づけています。玉木氏は「国民のプライバシーを侵害するものではない。あくまで国家の基幹情報を守る制度」と説明しました。スパイ防止法に対しては過去に「思想・言論の自由を制約する懸念」も指摘されてきましたが、同党は今回、自由と人権の尊重を前提とする法体系を明示し、運用上のバランス確保を強調しました。
自民・維新・参政とも連携模索
スパイ防止法の制定をめぐっては、自民党の高市早苗総裁も意欲を示しています。日本維新の会や参政党も同調しており、複数の野党が同方向に動く珍しい構図となっています。玉木氏は「同じ方向を向いている政党には協力を呼びかけたい」と述べ、超党派での法整備を視野に入れていることを示唆しました。
この動きの背景には、経済安全保障分野での国際的な競争激化があります。機密情報が海外企業や政府に流出すれば、技術・外交上の損失は計り知れません。特に人工知能、防衛技術、エネルギー関連の分野での情報防衛は急務となっています。
安全保障と自由、法整備のはざまで
スパイ防止法は1980年代以降、複数の政権が検討してきましたが、「国民監視につながる」との批判から実現していませんでした。しかし近年は、中国やロシアによるサイバー攻撃や経済スパイ事件の増加を受け、再び注目が集まっています。
国民民主が重視するのは、情報を扱う公務員や企業担当者を守る仕組みです。内部告発者保護制度の見直しや、捜査の透明性確保、恣意的な適用を防ぐ第三者機関の設置も検討対象に含まれています。
玉木氏は会見の最後で、「情報は国家の資源だ。日本が情報後進国であり続ければ、主権を守れない」と強調しました。国民民主党は今後、臨時国会または来年の通常国会での法案提出を目指すとしています。
一方で、表現や報道の自由をどう守るかも大きな課題です。法の目的と運用の境界線をどこに引くか、議論の成熟度が問われます。
スパイ防止法制定をめぐる議論は、自由と安全保障の均衡をどう取るかという古くて新しいテーマを浮き彫りにしています。国民民主党が先陣を切って旗を立てたことは、長く停滞してきた安全保障立法に新風を吹き込む動きといえるでしょう。
しかし、制度の構築には法的緻密さと政治的信頼が欠かせません。スパイ防止法が「国を守る盾」となるのか、「言論を縛る剣」となるのか。その帰趨を見極めるのは、最終的に国民自身です。