2025-08-26 コメント投稿する ▼
自民比例候補で最大規模の買収事件 パチンコ業界幹部6人逮捕と癒着の実態
自民比例候補めぐる大規模買収事件
7月の参院選で、自民党比例代表から立候補した阿部恭久氏(66)への投票を見返りに現金を支払うと約束したとして、パチンコ店運営会社「デルパラ」(東京)の社長ら幹部6人が、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで逮捕された。警視庁捜査2課と7県警の合同捜査本部は、対象人数250人超と「平成以降で最大規模」の買収事件だと位置付けている。
阿部氏はパチンコ業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」の理事長であり、業界代表として比例区に出馬していたが、約8万8000票にとどまり落選している。
逮捕された6人の容疑者
今回逮捕されたのは、以下の6人である。いずれもデルパラグループの経営陣や幹部で、各店舗の従業員やアルバイトへの買収工作を指揮したとみられる。
* 李昌範(り・ちゃんぼむ)容疑者(50、韓国籍)=デルパラ社長
* 湯浅一行 容疑者(46、千葉県市川市在住)=営業本部長
* 小西悌之 容疑者(44、鳥取県米子市在住)=管理本部長
* 森本梓 容疑者(44、埼玉県川口市在住)=東日本ブロック長
* 文泰成(むん・てそん)容疑者(44、韓国籍)=西日本ブロック長
* 佐々木章子 容疑者(53、鳥取県境港市在住)=総務部長
李容疑者を中心に幹部らは、各店長を集めて「阿部氏に投票させるよう従業員を動員せよ」と指示。従業員らには投票用紙をスマートフォンで撮影させ、その画像を店長へ送信させることで投票確認を行い、報酬として3000〜4000円を支払う約束をしていたとされる。
組織的な買収の構図
警視庁によると、買収工作の対象となった従業員やアルバイトは250人以上。報酬は残業代や手当を装って支給する計画だった。グループ31店舗をあげて候補者を応援させる体制が敷かれ、業界票を組織的に固めようとした実態が浮き彫りになった。
この規模と手口について、捜査幹部は「平成以降で最大の買収事件」と語り、徹底的な全容解明を進める方針だ。
パチンコ業界と政治の癒着
阿部氏は業界の代表として自民党比例区から出馬しており、パチンコ業界の利益代弁を期待された存在だった。だが、組織票獲得のための企業ぐるみの不正工作が発覚したことで、業界と政治との癒着が改めて問題視されている。
SNS上でも批判の声が相次いだ。
「候補者を業界が抱えて選挙に出すとこうなる」
「比例制度の歪みがもろに出た事件」
「投票用紙を撮影させるなんて民主主義の根本を壊している」
「自民党は責任をどう取るのか」
「企業と政治が結びつくと必ず不正が起きる」
比例代表制度と企業・団体献金の問題
比例代表制度は多様な民意を反映させるために導入されたが、近年は業界団体や職能団体の候補者擁立が増え、組織票依存の構図が強まっている。今回の事件はその弊害を端的に示すものとなった。さらに、企業・団体献金や業界との結び付きが不正の温床となり得ることを改めて証明した。
石破茂政権下では「政治とカネ」の信頼回復が重要課題とされており、今回の大規模買収事件を契機に、比例制度の見直しや企業・団体献金の規制強化が求められることは避けられない。
最大規模の買収事件が問う政治の信頼
阿部氏は落選したものの、事件は自民党が業界代表候補を容認してきた姿勢そのものを揺るがす。民主主義を守るためには、企業や団体の影響力を遮断し、選挙制度の公正性を確保する改革が急務である。平成以降最大規模とされる今回の事件は、日本の選挙制度と政治倫理に深い傷を残した。