2025-10-11 コメント投稿する ▼
石原伸晃氏「公明の離脱理由は作られた」 高市政権の理念と人間関係の欠落を指摘
表向きは「政治とカネ」や「選挙敗北」だが、真の原因は高市早苗総裁の理念と、公明の支持母体との根本的な不一致にあると指摘した。 石原氏は、理念の不一致が決定打であり、「政治とカネ」は建前に過ぎないと見ている。 これは単なる政局分析ではなく、「連立維持を支えてきた人間関係の回路が完全に切れた」という現実を突いている。
石原伸晃氏「公明離脱は作られた理由」
元衆院議員で自民党幹事長などを歴任した石原伸晃氏(68)は11日、情報番組に生出演し、公明党が連立政権を離脱した理由について「作られた理由だ」と断言した。表向きは「政治とカネ」や「選挙敗北」だが、真の原因は高市早苗総裁の理念と、公明の支持母体との根本的な不一致にあると指摘した。
石原氏は、表情を変えずこう言い切った。
「これは作られた理由なんですね。本音はですね、高市総裁との理念が、公明党の支持母体と絶対合わないんですよ」
理念の衝突と“人間力の欠如”
討論では、東大大学院の斎藤幸平准教授が「昔からそうじゃないですか?安倍総理の時から」と問いかけた。石原氏は「そこは人間力がカバーしてきたんですね」と応じ、安倍晋三元首相の時代には、個人的な信頼関係や調整力で公明との摩擦を吸収できていたと語った。
彼はさらに、過去の連立維持の裏側を例示した。元副総裁・山崎拓氏、当時の公明幹事長・冬柴鉄三氏、保守党幹事長・二階俊博氏の3人が「ほぼ毎日会ってあつれきを解消していた」と回想し、「今の高市政権には、そうした人間関係の橋渡しがいない」と批判した。
「山崎さんが言っていた通り、冬柴さんと二階さんと山崎さんが会うことで連立は回っていた。今は誰もやっていない」
「高市さんはお気の毒だけど、理念の問題が根っこにある」
靖国と国家主義が象徴する断絶
石原氏は、高市総裁が靖国神社への参拝姿勢をめぐって「現職中は行かない」と述べながら、「総理を辞めたら行く」とした点に触れ、「結局理念は変わっていない」と批判した。国家主義的な価値観を重んじる高市氏の姿勢が、公明の支持母体とは本質的に相いれないという立場だ。
「国家主義的なものを尊重するというのは、公明の支持母体から見れば到底受け入れられない」
「斉藤代表は非常にジェントルマンで、ああいう発言は苦しかったと思う。それでも支持母体の強い圧力があった」
石原氏は、理念の不一致が決定打であり、「政治とカネ」は建前に過ぎないと見ている。これは単なる政局分析ではなく、「連立維持を支えてきた人間関係の回路が完全に切れた」という現実を突いている。
政権運営における致命的空白
今回の発言の要点は三つある。
第一に、高市政権の人事が「片方に寄りすぎた論功行賞」であり、政策のバランスを欠いた。
第二に、自公間の調整役が存在せず、信頼の再構築が不可能な構造になっている。
第三に、理念的に妥協不能な対立軸が再び顕在化したことで、もはや形式的な連立維持は無理筋となった。
結局、公明の離脱は偶発的な「政治とカネ」ではなく、政権の根底にある思想的断裂の結果だ。石原氏が指摘する“作られた理由”とは、表向きの理屈で飾られた「離婚届」にすぎない。実際は、国家主義に傾いた高市政権が、信仰と理念で支えるパートナーを自ら振り落とした構図に近い。
石原氏の分析は冷ややかでありながら的確だ。政権は理念で維持されるのではなく、人間関係と調整力で支えられる。高市政権はその基礎を軽視し、結果として公明という“緩衝装置”を失った。
このまま修復がなければ、政権運営はますます内向きに硬直し、「孤立する保守政権」という構図が現実化する。