2025-11-17 コメント投稿する ▼
佐藤正久「日台相互情報交換で中国艦艇監視の盲点を塞ぐ」
一方で、佐藤氏は対馬海峡を通過する中国艦船情報は台湾側が盲点化しているとし、両国間の相互情報交換が「実践的かつ効果的」だと論じています。 これは、バシー海峡の監視能力を高める狙いがあるとされています。
日台の「盲点補完」へ 佐藤正久氏が指摘する中国艦艇の戦略
佐藤正久・元参議院議員(前外務副大臣)は、自身のツイッターでバシー海峡を通過する中国の艦船や潜水艦に関する情報が、日本にとって重大な盲点になっていると警鐘を鳴らしました。彼は、これまで台湾当局からの情報に依存していた実情を指摘するとともに、日本からも情報源を持つべきだと主張しています。
一方で、佐藤氏は対馬海峡を通過する中国艦船情報は台湾側が盲点化しているとし、両国間の相互情報交換が「実践的かつ効果的」だと論じています。彼の見立ては、単なる懸念ではなく、現実の戦略的リスクと防衛政策上のギャップを突いたものであり、安全保障における日台協力の必要性を浮き彫りにします。
バシー海峡防衛の強化:レーダー供与と日台米の兵站
バシー海峡(フィリピンのバタネス諸島と台湾間をつなぐ海域)は、国際貿易の重要ルートであり、戦略的な“ボトルネック”とされています。フィリピン軍は、日本が無償供与した沿岸監視用レーダーをバタネス州の島々に配備する計画を明らかにしました。これは、バシー海峡の監視能力を高める狙いがあるとされています。
このレーダー供与は、日本の「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みで実施されたもので、2023年には5基が提供され、その総額は約6億円と報じられています。
日本側がこうした取り組みを通じてバシー海峡での監視網構築に関与していることは、佐藤氏の主張と符合する実際的な動きです。
対馬海峡から見た中国戦略と日台連携の重要性
佐藤氏が指摘したもう一つの焦点が対馬海峡です。対馬海峡は日本列島北西部、九州と対馬の間を通る海域で、ここを通過する中国艦船の情報が台湾に十分共有されていない、というのが彼の懸念です。これにより、日台両国それぞれが“自国中心”のリスク視点に偏り、全体像を把握できていない可能性があります。
こうした情勢を背景に、専門家の間でも日台海上保安機関の協力強化を求める声が高まっています。たとえば、笹川平和財団の分析では、日台間で捜索救助(SAR)や海上法執行に関する協力が形式的なものにとどまっており、より実務的・戦略的な連携が必要だと指摘されています。
また、日本と台湾の海巡署・海上保安庁による共同訓練も、徐々に進展を見せています。
一方で、中国は第1列島線、つまり日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ海域に、海軍と海警局の艦艇を90隻以上展開させているとの報告もあります。これは、日台双方にとって戦略的な圧力が強まっていることを示す重大な事実です。
リスクの構図と今後の課題
① 情報依存の偏り
佐藤氏の主張通り、日本はバシー海峡に関して台湾やフィリピン経由の情報に頼る部分が大きいとされます。だが、相互情報交換なしでは盲点が生まれやすく、必要な対策が後手に回る恐れがあります。
② 戦略的脆弱性の放置
対馬海峡を含む日本周辺海域での中国艦艇の動きは、台湾側から十分には把握されていない可能性があります。両国が独立に動くことで、戦略的危機に対する対応が分断されるリスクがあります。
③ 防衛協力と国際協調の強化
レーダー提供は重要な一歩ですが、さらなる制度化された協力や訓練、共同海上監視体制の構築が求められます。特に、SAR(捜索救助)や海上法執行の合同訓練、定期的な情報共有チャネルの整備などが鍵です。
佐藤正久氏の視点が提示する意味
佐藤正久氏が提起した「盲点の補完」は、安全保障政策において非常に現実的な警戒です。単に理論上のアイデアではなく、日本の防衛力強化、そして日台連携の合理的な方向性を示しています。特に、情報交換を通じて相互監視を強化することは、地域の安定を保つための実用的なステップであり、今後の現実的な政策議論において中心に据えるべきテーマです。