2025-10-05 コメント投稿する ▼
海上保安庁「政策プログラム」10年 日本発の人材育成でアジアに信頼の輪
アジア諸国の海上保安機関から幹部職員を日本に招いて研修を行う「海上保安政策プログラム(MSP)」が、今月で導入から10年を迎えました。 立ち上げ当初から推進に携わってきた公明党の山口那津男常任顧問は、「平和の基盤は信頼関係の構築にある」と語り、プログラムの意義を強調しました。
海上保安庁「政策プログラム」導入10年 アジア各国と築く信頼のネットワーク
アジア諸国の海上保安機関から幹部職員を日本に招いて研修を行う「海上保安政策プログラム(MSP)」が、今月で導入から10年を迎えました。これまでに11カ国、78人の修了生を輩出し、海洋の安全保障に関する国際的な人材育成の成果が着実に現れています。立ち上げ当初から推進に携わってきた公明党の山口那津男常任顧問は、「平和の基盤は信頼関係の構築にある」と語り、プログラムの意義を強調しました。
国際法から救難防災まで体系的に研修
MSPは海上保安庁と政策研究大学院大学(GRIPS)の連携により実施され、国際協力機構(JICA)が生活支援を担います。アジア・太平洋地域の海上保安機関から推薦を受けた若手幹部が日本に1年間滞在し、国際海洋法や海上安全政策、救難・防災など幅広い分野を体系的に学びます。前期には政策研究大学院大学で法的・政策的基礎を習得し、後期には海上保安大学校で実践的な演習を行うという構成で、理論と現場を結ぶ実践教育が特徴です。
当初、2015年はマレーシアやフィリピンなど東南アジア5カ国からの参加でしたが、現在ではインド、ベトナム、スリランカ、太平洋島しょ国のパラオなどを含む11カ国に拡大しました。修了生の多くが自国の沿岸警備隊や海上保安当局で要職に就いており、国際海洋秩序の維持に貢献しています。フィリピン沿岸警備隊の1期生は同国史上最年少で准将に昇進し、国際連携部門の報道官として活動しているといいます。
「日本で学んだ法の精神が、日々の任務の支えになっている」
「アジアの海を守るには、信頼に基づく協力が不可欠だ」
「隣国に日本で学んだ仲間がいることが心強い」
「政治や軍事ではなく、法の支配で安全をつくるのが私たちの使命だ」
「この経験を次の世代につなぎたい」
こうした修了生の声は、日本の国際的な信頼を高めるとともに、地域の安定に寄与しています。
公明党が制度創設を主導
MSP創設の背景には、公明党の粘り強い国会論戦がありました。2014年、公明党の山口那津男代表(当時)は、アジア諸国の海上保安協力の必要性を国会で提起し、「民間資金頼みの研修では持続性がない。国費を投入し、政府主導の枠組みとして継続すべきだ」と訴えました。これを受けて当時の太田昭宏国土交通相(公明党)が「海上保安大学校に海上保安政策課程を新設する」と答弁し、2015年10月にMSPが正式に始動しました。
以来、公明党は国会審議や現地視察を通じてプログラムの充実を後押ししてきました。特に、女性幹部の受け入れ拡大や、海洋環境保全・違法漁業対策など新たな研修テーマの導入が進められています。山口氏は「日本が主導して築いた信頼の輪を、アジアの平和と安定の基礎にしていくべきだ」と語りました。
山口氏「法の支配で実質的な平和を」
山口那津男常任顧問は、MSPの成果について「インド太平洋の海上交通路はアジア経済の生命線であり、法と協調に基づく秩序の維持が欠かせない。日本が主導して人材を育成し、各国が連携して海を守ることは、軍事ではなく信頼に支えられた平和の実現につながる」と強調しました。
山口氏は毎年の研修生との交流を欠かさず、2023年と2024年には党ASEAN訪問団の一員としてフィリピンやマレーシアを訪問し、現地で活躍する修了生たちと再会したといいます。「卒業生たちの成長に感動した。『日本で学んだ仲間が隣の海にいることが何より心強い』という言葉が印象的だった」と語りました。
また、「MSPが期を重ねるごとに各国で中核人材が育ち、縦と横のネットワークが広がっている。これこそが平和の礎であり、実質的な安全保障だ」と述べ、「軍事衝突を防ぎ、共に地域の安定を築くために、日本が引き続き主導的役割を果たしてほしい」と訴えました。
10年で築いた信頼の財産
創設から10年を経た今、MSPは単なる研修制度にとどまらず、国際的な信頼と友情の象徴になっています。参加国の中には、自国で日本式の海上保安研修を導入する動きも見られ、国際的な波及効果が広がっています。海上保安庁関係者は「法の支配を共有する人材の輪が広がることこそ、真の海洋安全保障につながる」と語ります。
MSPの修了生同士が災害救助や海難対応で協力する事例も増えており、「人のつながりが危機を救う」取り組みとして国際社会から高く評価されています。プログラムは今後も継続され、さらなる人材交流の拡大が期待されています。