2025-09-26 コメント投稿する ▼
石川県が福井県を逆転 能登地震の海岸隆起で面積増加し全国34位に
石川県の面積が前年より4.74平方キロ増加し、福井県を抜いて全国34位に浮上した。 自然現象によって都道府県の面積順位が入れ替わるのは極めて珍しい事例だ。 国土地理院は電子国土基本図をもとに都道府県の面積を集計しており、今回の発表は能登半島周辺の地図が更新されてから初めてとなる。 担当者は「石川と福井はもともと面積が近く、地震による増加が順位逆転につながった」と説明している。
石川県が福井県を逆転、能登地震の海岸隆起で面積増加
国土地理院は9月26日、7月1日時点の都道府県別面積を公表した。石川県の面積が前年より4.74平方キロ増加し、福井県を抜いて全国34位に浮上した。背景には、2023年1月の能登半島地震による海岸隆起の影響がある。自然現象によって都道府県の面積順位が入れ替わるのは極めて珍しい事例だ。
能登地震による地形変化
石川県での増加分は、輪島市で2.78平方キロ、珠洲市で1.72平方キロ、志賀町で0.24平方キロに及ぶ。いずれも海岸線が隆起し、新たな陸地が出現した結果だ。地震による大規模な隆起は漁港や海岸利用に深刻な影響を及ぼした一方で、国の統計上では面積増加として現れる形となった。
国土地理院は電子国土基本図をもとに都道府県の面積を集計しており、今回の発表は能登半島周辺の地図が更新されてから初めてとなる。担当者は「石川と福井はもともと面積が近く、地震による増加が順位逆転につながった」と説明している。
過去の順位変動と異例の逆転
都道府県の面積順位は長年ほとんど変動がない。過去の例では1988年、大阪府が埋め立て地の拡大で香川県を抜いたケースがある程度だ。今回は人工的な埋め立てではなく、自然災害による隆起で順位が入れ替わった点で異例といえる。
石川県は今回の逆転により34位となり、福井県は35位に下がった。両県の差はわずかであり、自然条件や人為的な開発によって再び入れ替わる可能性もある。
住民生活への影響と今後の課題
海岸隆起は統計的な面積増加にとどまらず、漁業や観光に直結する地域課題を残している。浅瀬の拡大による航路の変化、海水浴場や漁港施設の利用制限など、日常生活への影響は続いている。自治体は復旧と同時に、新たな地形を前提にしたまちづくりや産業政策を検討せざるを得ない。
面積増加は数字上の変化にすぎないが、住民にとっては「土地が増えた」という実感よりも、災害の爪痕を突き付けられる出来事である。自然の力による地形変化をどう受け止め、地域の持続的な発展につなげるかが問われている。