2026-01-05 コメント投稿する ▼
奈良県・山下真知事がチャレンジ奨励を訓示、自治体は失敗リスク許容が鍵、組織文化転換へ覚悟問われる
奈良県の山下真知事氏が2026年1月5日、県庁の仕事始め式で幹部職員約150人に新年の訓示を行いました。新たなチャレンジを許容し奨励する組織文化の構築を強く求めましたが、自治体においてチャレンジとは失敗のリスクも伴います。そのリスクを許容できるかが、真の改革の鍵となります。
チャレンジを掲げた山下知事
山下知事氏は2026年をさらなる飛躍の年と位置づけ、時代の変化に対応した不断の県政改革や組織風土の刷新を訴えました。
訓示では今年のニュースとして日韓首脳会談、NHK大河ドラマ豊臣兄弟、7月の世界遺産登録を目指す飛鳥・藤原の宮都を列挙しました。県政運営では知事選での公約の9割以上を達成したと強調し、大規模なインフラや施設整備などのハード系プロジェクトも着実に推進していくと述べました。
「チャレンジって言葉だけは簡単だけど、失敗したら誰が責任取るの?」
「自治体でチャレンジして失敗したら、住民から叩かれるだけでしょ」
「昨日と同じことを明日もやる、それが公務員の仕事だと思ってた」
「新しいことやって失敗したら議会で追及されるから、誰もやりたがらないよね」
「組織文化の構築って言うけど、失敗を許さない文化が染み付いてるんだよ」
組織運営に関して山下氏は、少子高齢化や人工知能技術の進展など目まぐるしい社会の変化を指摘し、昨日と同じことを明日もやればいいという考えでは対応できないと職員に意識改革を促しました。また、現場を支える課長や課長補佐級の中間管理職のリーダーシップに期待すると話しました。
自治体が抱える失敗への恐怖
しかし、ここに大きな矛盾があります。チャレンジには必ず失敗のリスクが伴いますが、自治体組織は失敗を許容しない傾向が極めて強いのです。
よく行政の無謬性という言葉が使われます。行政は間違えない、間違えを認められないという文化です。この文化が職員のチャレンジ精神を萎縮させ、新しいことに取り組めない組織風土を生み出しています。
川崎市の事例では、財政も含めていろいろな課題が表面化してくる中では、本来はチャレンジしながら修正をしていくことがより解決に近いはずです。失敗をしないというのはチャレンジをしないに近いという指摘があります。
失敗と挑戦の本質的な違い
民間企業では失敗を許容する文化が定着しつつあります。ユニクロの柳井正氏の著書一勝九敗にあるように、多くの失敗をしながらも成功を積み重ね、会社全体の業績は伸びています。
失敗とミスは本質的に異なります。ミスはあるべき手順や方法、ルール、基準からの逸脱であり、無意識下で起こることがほとんどでゼロにすべきものです。一方、失敗とは挑戦の結果、期待通りの成果を生まなかった行為であり、試行錯誤の過程で生まれるものです。
良い失敗は許容し、増やしていくべきものなのです。挑戦的な目標を達成する確率は、それが挑戦的であればあるほど低くなりますし、達成への過程でも数々の失敗があるものです。
リスク説明と継続・撤退ラインの設定
では、自治体がチャレンジを実現するにはどうすればよいのでしょうか。重要なのはリスクを事前に説明し、継続・撤退のラインを明確に設定することです。
例えば、このキーとなる数値が10を超えたらこの通りの計画でいく、10を下回った場合はこういうものを考えています、もしくは来年度は止めますという説明をすれば、どちらに転んでも次の策は練られていますという姿勢を示せます。
しかし、現状では数値目標を出すことは他市も含めてやってきましたが、継続・撤退のラインを設けるというところまでは至っていません。大規模な都市の再開発のような規模のものを失敗しましたと言っても、相当に厳しい目にさらされます。
だからこそ、失敗しても相対的にリスクの小さい事業ではチャレンジをしてPDCAを回し、次にどう進んでいくかを考えることはあっても良いはずです。
職員が安心してチャレンジできる環境
組織文化の改革には時間がかかります。まず必要なのは、安心して質問できる環境づくりです。会議やミーティングで質問は多く出てきますか。メンバー全員の共通理解ができていますか。自分の仕事以外でわからないことをそのままにしていませんか。
いきなり失敗してもいいからチャレンジをしなさいといってもメンバーは戸惑うばかりです。質問の価値を考え直し、職員が主体的に行動できる仕組みを整えることが先決です。
民間出身の山下知事氏は、生駒市長を3期9年務めた経験から、しがらみのない政治による抜本的な行財政改革が必要だと考えています。2023年の知事就任後、15事業について全部もしくは一部を中止する内容の予算査定結果を発表し、約4730億円分の予算削減を実現しました。
失敗を組織知に変える仕組み
失敗の経験を単に自分だけの経験にするのではなく、組織の経験知に高める努力が今こそ求められています。失敗事例を組織の教訓にするというルール付けを図ることがあっても良いでしょう。
一般的には失敗したことを組織内でオープンにする組織風土が少ないのではないかと考えられます。組織内で情報の共有化を図らなければ、また別の職員が同じ失敗をすることになります。
個人が学習したものや経験した知識を組織全体の知識として蓄積することが求められます。失敗を通して組織知を高める努力が組織全体を強くすることになります。
山下知事氏が訴える新たなチャレンジを許容し奨励する組織文化の構築は、失敗のリスクを許容する覚悟なくして実現できません。自治体が本当に変わるためには、失敗を恐れずチャレンジできる環境を整え、その失敗から学ぶ仕組みを作ることが不可欠です。
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