2025-09-11 コメント投稿する ▼
奈良県内企業の景況感が4期連続マイナス
奈良財務事務所が実施した法人企業景気予測調査によると、奈良県内企業の景況感を示す指数がことし7月から9月期でマイナス10.3ポイントとなり、4期連続でマイナスを記録した。 今回の調査では、製造業と非製造業の双方で景況感が悪化した。 奈良財務事務所は、今後の見通しについて「物価上昇を販売価格に転嫁できている企業と、できずに収益を圧迫されている企業との二極化が進んでいる」と指摘する。
奈良県内企業の景況感が4期連続マイナス 財務事務所調査で明らかに
奈良財務事務所が実施した法人企業景気予測調査によると、奈良県内企業の景況感を示す指数がことし7月から9月期でマイナス10.3ポイントとなり、4期連続でマイナスを記録した。前回調査から1.9ポイント悪化しており、地域経済の回復の足取りが鈍化している現状が浮き彫りとなった。
「4期連続マイナスは深刻だ」
「物価は上がるのに給料が追いつかない」
「地方経済が置き去りにされている」
「EV減速がここまで影響するのか」
「先行きが不安で投資を控えてしまう」
業種別の動向 製造業と非製造業で広がる影響
今回の調査では、製造業と非製造業の双方で景況感が悪化した。製造業はマイナス6.7ポイントで、原材料価格の高止まりに加え、アメリカのトランプ政権による政策の影響で電気自動車(EV)の普及が減速していることが響いた。自動車関連の部品メーカーを中心に先行きへの警戒感が高まっている。
非製造業はマイナス13.5ポイントとさらに厳しい。特に不動産関連では需要の落ち込みが鮮明となり、仕入れ価格の上昇によって収益を圧迫する事例が相次いでいる。飲食業や小売業でも人件費の上昇を価格に十分転嫁できない中小企業が多く、経営環境は厳しさを増している。
物価高騰と企業の二極化
奈良財務事務所は、今後の見通しについて「物価上昇を販売価格に転嫁できている企業と、できずに収益を圧迫されている企業との二極化が進んでいる」と指摘する。大手企業は価格転嫁に成功する一方、中小企業は消費者の購買力低下に直面して値上げが難しく、負担が集中している。
県内の企業経営者からは「収益が減る一方で賃上げ要請は続き、板挟みだ」との声も多く、地域経済全体の底上げ策が求められている。
地方経済に求められる支援と課題
奈良県内に限らず、地方経済は全国的な物価高と国際情勢の影響を強く受けている。特にエネルギーや原材料の価格上昇は、製造業・非製造業を問わず経営環境を直撃している。地域企業の体力は限られており、資金繰りや雇用維持に苦しむ中小企業への支援強化が急務だ。
また、将来的な成長分野であるはずのEV関連で需要減速が見られることは、国内の産業戦略にも影を落とす。地方の製造業が持つ競争力をどう支えるかは、国の産業政策とも密接に関わってくる課題だ。
奈良財務事務所が指摘する「二極化」は、地方の格差拡大にもつながりかねない。県内経済が持続的に発展するためには、物価高に耐えられる企業基盤をどう育てるかが問われている。
奈良県内企業の景況感悪化と地域経済の持続性
今回の調査結果は、奈良県内経済の脆弱さを改めて示すものとなった。4期連続のマイナスは偶然ではなく、物価高や国際的な市場変動といった外的要因に地方企業が翻弄されている構図を浮かび上がらせている。
国や自治体が中小企業への支援を強化しなければ、地域経済は長期的に停滞しかねない。景況感の悪化は単なる数字ではなく、雇用や生活の安定に直結する問題であり、奈良に限らず全国的な課題として捉える必要がある。