2025-08-19 コメント投稿する ▼
立憲民主党が介護職の年12万円賃上げを要請 人材流出防止へ政府対応を迫る
立憲民主党が介護職の賃上げを要請
立憲民主党は8月19日、福岡資麿厚生労働相に対し、介護報酬と障害福祉サービス報酬の引き上げを求める要請書を提出した。焦点は、介護職員らの処遇改善と事業所経営の安定化である。特に、物価高や最低賃金上昇に加え、人材不足が深刻化している現状を踏まえ、政府の対応を「全く不十分」と厳しく批判した。
立憲民主党は、来年4月の報酬改定を待たず、訪問介護の現場に対して速やかに支援金を支給すべきだと強調。昨年度の基本報酬引き下げによる影響を指摘し、再び現場が疲弊しないよう国の早急な対応を迫った。
「介護職の給料が低すぎて、知人が辞めてしまった」
「訪問介護の基本報酬引き下げは現場を壊すだけ」
「最低賃金は上がっても、介護の待遇が追いついていない」
「年12万円程度では不十分。もっと思い切った改革を」
「結局は国が人材流出を止められるかどうかの勝負」
年12万円の賃上げを主張
立憲民主党の要請は、他野党とも連携する形で進められている。日本維新の会や国民民主党とともに提出した法案を踏まえ、職員一人当たり月額1万円(年額12万円)以上の賃上げを速やかに実現すべきだと訴えた。対象は介護や障害福祉の現場で働くすべての職員であり、限られた一部ではなく包括的な改善を目指している。
この「年12万円」という数字は、現場から見れば決して十分ではないが、政治的に実現可能なラインとして提示されたものとされる。立憲民主党は「第一歩」と位置づけ、将来的には全産業平均の水準まで賃金を引き上げるべきだと明記している。
介護職の平均年収は約360万円前後とされ、全産業平均より約100万円低い。介護人材の不足は今後ますます深刻化すると予測されており、政府が早急に改善策を打ち出さなければ、地域の介護サービスが崩壊しかねないとの懸念が広がっている。
背景にある人材不足と物価高
介護分野の人材不足は長年の課題である。少子高齢化が進み、介護需要は増加の一途をたどる一方、待遇の低さや労働環境の厳しさから離職率が高止まりしている。特に訪問介護は人材確保が難しく、利用者の生活に直結するだけに対策が急務だ。
さらに、物価高やエネルギーコストの上昇、人件費の増大も経営を圧迫している。最低賃金の引き上げが続く中で、介護事業所が人件費を確保できなければ事業そのものが立ち行かなくなる。今回の要請は、こうした現場の危機感を背景にしたものだ。
過去にも政府は処遇改善加算や補助金で支援を行ってきたが、現場からは「一時的で継続性がない」「加算申請の手続きが煩雑」といった不満が相次いでいる。減税や恒久的な制度改革と異なり、補助金頼みの施策は持続性に乏しいと批判される。国民もまた、単発の給付金ではなく安定的な減税による可処分所得の増加を求めている。
日本の介護政策の課題と展望
他国と比べると、日本の介護職の待遇は依然として低い水準にある。例えばドイツや北欧諸国では、介護職の賃金は全産業平均と大きな差がなく、社会的評価も高い。これに対し日本では「低賃金・重労働」というイメージが定着し、人材確保の最大の障害となっている。
今回の立憲民主党の要請は、介護現場の切実な声を代弁するものである。石破政権がどのように応じるかが注目されるが、単なる一時的な補助金や加算にとどまらず、恒久的な減税や制度改正を伴わなければ本質的な解決には至らない。
介護は国民生活の基盤であり、誰もが関わる可能性のある分野である。介護職員が安心して働ける環境を整えることは、社会全体の安心につながる。今回の賃上げ要請は、その出発点として重要な意味を持っている。