2025-06-30 コメント投稿する ▼
野田佳彦氏「与党過半数割れが最低限」 立民が掲げる“責任ある減税”と政権戦略のリアル
野田佳彦代表「与党過半数割れが最低限の目標」
参院選で立民が目指す「責任ある減税」と大連立否定の真意
参院選で問われる“野党の責任”
「与党を改選過半数割れに追い込むことが最低限の目標だ」
7月3日公示、20日投開票の参院選を前に、立憲民主党の野田佳彦代表は6月30日のインタビューで、明確な勝敗ラインを示した。これは単なる選挙目標ではない。野田氏は、この選挙で与党が信任を失えば、岸田政権の延命を阻止する足掛かりになると見ている。
ただし「全体でも過半数割れに追い込むところまで持ち込みたい」と語った野田氏の口調は、あくまで“可能性”を模索する冷静なトーンだ。派手なパフォーマンスよりも、着実な歩みで政権にプレッシャーをかけるという姿勢がうかがえる。
消費税ゼロで“家計に即効性”を訴える
選挙戦での最大の争点として、野田氏は「物価高対策」を掲げる。
その目玉政策が「食料品の消費税ゼロ」だ。
単なる減税論ではなく、「財源も明示した、責任ある減税」である点を強調。「ばらまき」との批判をかわす狙いもある。
これに対し、自民・公明両党が公約に盛り込んだ「国民1人あたり2万円の現金給付」については、「結局は貯金に回るだけで即効性がない」と一刀両断。消費税減税の方が、日常の暮らしに直接的な効果があるという立場だ。
「消費税ゼロ、正直ありがたい」
「責任ある減税って言うけど、本当に財源あるの?」
「2万円よりも毎日の食費が安くなるほうがいい」
「立民、今回は現実路線をちゃんとやってる印象」
「減税に“責任”ってつけるだけで説得力増すんだな」
維新や国民民主との“ぎこちない協調”
一方、32ある1人区での野党候補一本化に向けた調整について、野田氏は「満足はしていないが、最後まで頑張った」と述べ、一定の成果を強調。
特に日本維新の会との間では「予備選挙」形式で候補者を調整し、国民民主や共産党とも折衝を重ねたと明かした。
ただし、立民が抱える構造的な課題は、こうした「選挙限定の協力体制」が理念の違いを超えられず、すぐに瓦解するリスクがあることだ。今回の選挙でも、県連単位では協力に消極的な姿勢が目立つ場面もあり、選挙後に野党再編の火種が再燃する可能性も否定できない。
外国人政策では“現実路線”を採用
また外国人政策に関して、野田氏は「多文化共生の社会を作っていくことは重要」と述べ、介護や建設業などの人手不足に対して外国人労働者の受け入れを前向きに検討する考えを示した。ただし、外国人への参政権付与については「考えていない」と明言。現実的なバランスを重視する姿勢を取っている。
このスタンスは、保守層にも配慮しつつ、中道寄りの無党派層を取り込む狙いが見て取れる。従来のリベラル色を抑えた“ソフトな立憲民主党”としての変化を打ち出している形だ。
大連立は「基本的には考えていない」
選挙後の政権構想について問われた野田氏は、自民党との大連立の可能性について「幅広い政策の一致が必要」としつつ、「基本的には考えていない」と明確に否定した。
これは、過去の民主党政権時代の混乱や、近年の野党分断への批判を踏まえた発言とみられる。
一方で、臨時国会での内閣不信任案提出の可能性については「議席数によって全然違う。結果を見てから考える」と含みを持たせた。選挙結果によっては、政局が大きく動くことも示唆している。
“現実志向”の立民は信頼を取り戻せるか
かつての民主党政権で首相を務めた経験を持つ野田氏が掲げる「責任ある野党」像は、単なる反対ではなく、現実的な政策提案にシフトしている点が特徴だ。
比例票の積み増しに向けては「まずは支持層を固め、そのうえで無党派層にどれだけ迫れるか」と、地道な戦術を語る野田氏。もはや“劇場型選挙”ではなく、“積み上げ型選挙”が求められているという認識だろう。
今後の焦点は、物価高や人口減少といった有権者の生活に直結する問題に、どれだけ「本気の政策」で応えられるかにかかっている。