2025-05-02 コメント投稿する ▼
野田佳彦氏、日米関税交渉に「重層的アプローチを」 米世論も味方に戦略的対話を提言
日米関税交渉 野田代表「アメリカの世論を味方に」 重層的アプローチを提言
立憲民主党の野田佳彦代表は5月2日、国会内での定例会見で、日米間で進んでいる関税交渉について言及し、「交渉は一人の大臣だけに任せるのではなく、もっと多層的に進めるべきだ」と述べた。とくにアメリカ国内の世論を味方につける戦略の重要性を強調した。
“足元を見られない”交渉を
野田氏は冒頭、同日朝に行われた2回目の日米関税協議に触れ、「まだ中身は十分に明らかになっていないので、現時点では慎重に見ている」と前置きしながらも、アメリカ側の姿勢に懸念を示した。「最近、米側が日本の政治日程を材料に“日本が急いでいる”といった発言をしている。これは日本の足元を見ている証拠だ」と指摘し、「本来はウィンウィンの交渉になるべき。日本は安易に手の内を明かすべきではない」と苦言を呈した。
“重層的交渉”で世論も味方に
続けて野田代表は、現在交渉を一手に担っている赤沢経済再生担当大臣に任せきりの体制に対して、「もっと多方面から交渉すべきだ」と主張した。かつての交渉では、アメリカ国内で日本企業の投資を歓迎している州の知事や、経済界の有力者を味方につけるといった“世論を巻き込む”戦術が功を奏したという。「そうした重層的な動きが、今まさに必要だ」と強調した。
また、野田氏は12日に予定されている予算委員会の集中審議で、今回の交渉内容について政府側に詳細な説明を求めていく意向も示した。
連休明けの国会でも論戦へ
国会対応については、すでに立憲民主党が提出している複数の議員立法について、「物価高に対応するためのガソリン・軽油の暫定税率廃止や、介護・障害福祉の処遇改善など、国民生活に直結する課題をしっかり審議したい」と述べた。企業・団体献金の禁止や選択的夫婦別姓制度など、制度改革も議論の対象として挙げている。
“論憲”の立場から丁寧な議論を
5月3日の憲法記念日を前に、立憲民主党としての憲法に対する立場についても質問が出た。野田氏は「私たちは一貫して“論憲”の立場。枝野幸男衆院憲法審査会長を中心に、衆院の解散権や臨時国会の招集権など、具体的なテーマを整理しながら丁寧に議論している」と説明した。
消費減税の“期限設定”にも言及
さらに話題は消費税に移り、「われわれは食料品の消費税をゼロにすることを提案しているが、重要なのは“期限を決めること”だ」と発言。「他党のように『5%に引き下げる』とだけ言って、いつまで続けるかを示さないやり方には問題がある。15兆円の減収が生じる可能性がある中で、持続性のない政策は無責任だ」と批判した。
* 日米関税交渉について、野田代表は「一人の大臣任せでは不十分」と懸念を表明
* アメリカ国内の親日的な州や世論を味方につける“重層的な戦略”の必要性を訴え
* 国会では物価高対策や制度改革、憲法論議を「丁寧に、かつ深く」進める姿勢
* 消費税のゼロ%化には期限の明示が不可欠とし、他党との差別化を図る
今後の交渉は、日本政府の戦略的判断だけでなく、アメリカ世論や地域の声をどう巻き込んでいくかが重要なカギとなりそうだ。