2025-11-11 コメント: 1件 ▼
野田佳彦代表が小林鷹之発言に苦言 駐大阪総領事投稿巡る外交火種
野田代表は「気持ちは分かる」としつつも、「党の重たい役を担っている人としては、一方でそろそろ火消しに当たっていく構えに持って行かないと」と語り、対応のバランスを求めた。
駐大阪総領事投稿を巡る“政調会長発言”に苦言 野田佳彦代表が指摘
2025年11月11日、立憲民主党の野田佳彦代表(68)はテレビ番組出演の中で、小林鷹之政務調査会長(自由民主党)が、高市早苗首相(内閣総理大臣)を巡る一連の外交摩擦に対し「ペルソナ・ノン・グラータ指定も含め毅然とした対応を政府に求めたい」と発言した点に対し、苦言を呈した。
野田代表は「気持ちは分かる」としつつも、「党の重たい役を担っている人としては、一方でそろそろ火消しに当たっていく構えに持って行かないと」と語り、対応のバランスを求めた。
発端となった投稿と外交的背景
事の発端は、11月8日付で薛剣駐大阪総領事(中華人民共和国)がSNS(X)上で、首相の台湾有事に関する発言に対し「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」と挑発的な書き込みをしたことだった。
この投稿を受け、日本政府は抗議を行い投稿は後に削除された。
投稿内容は外交官としての品位を大きく逸脱しており、与野党を問わず重大な問題と受け止められている。
小林政調会長発言の意図と波紋
小林政調会長はこの投稿を巡り「中国の対応に進展がない場合、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物扱い)指定を含む毅然とした対応を政府に求めたい」と明言。これは、当該外交官を退去させる可能性も示す強硬姿勢である。
この発言は、自民党内で与党外交の責任を持つ立場として中国側の挑発的言動に真剣対応すべきというスタンスを示しており、野田代表も「厳しく抗議すべき」「けしからんというところまではいいが、ペルソナ・ノン・グラータまでいくと、よりエスカレートしていく可能性がある」として、国際的な波紋拡大への懸念を指摘している。
野田代表が重視する「火消し」戦略
野田代表は「党の重たい役を担っている人としては、一方でそろそろ火消しに当たっていく構えに持って行かないと」と表現。つまり、挑発的な言動をエスカレートさせるばかりでなく、状況の沈静化に向けた調整役を担う必要があると述べた。
政治家として、与党・野党問わず外交リスクを拡大させず国内世論・国際社会の双方を見据えた言動が求められており、野田代表の指摘はその構図を浮き彫りにしている。
また、投稿の削除後も「投稿が問題になった後の対応について、本国(中国)も“そこまで言うな”という気持ちがあるのではないか」との見方を示しており、外交的過熱を抑える必要性を示唆している。
今回の論点と今後の影響
今回の一件では、台湾有事を巡る発言、外交官の過激投稿、与党政調会長の強硬発言、野党代表による火消し呼びかけという構図が浮かび上がった。
まず、首相の発言が対中外交の微妙な節目であったこと。次に、中国側外交官による挑発的発言という「言論の応酬」が展開されたこと。そして、それに対し日本国内で与野党ともにどう対応すべきかを巡り議論が起きている。
野田代表の苦言は、単なる与党批判ではなく「国益を守るための言動とは何か」を問うものだ。政調会長の発言が政府の公式対応と齟齬を生じさせると、外交実務にも支障が出かねない。
今後、政府・与党が中国との関係でどのような「毅然としつつ沈着」な対応を取るかが焦点となる。そして、野党も含めた国会内での議論が、外交と安全保障の感度が高まる中でさらに浮上する可能性がある。
野田佳彦代表が苦言を呈したのは、小林鷹之政調会長の「ペルソナ・ノン・グラータ指定もありうる」との強硬コメントに対し、対中外交という場面において「挑発的な発言をそのまま追認するのではなく、火消しの構えも必要だ」とした点だ。外交官の投稿という異例の挑発を受けて、与党内でも「どういう対応が国益につながるか」の模索が始まっている。
現時点では、投稿の削除など一段落の動きも見えるが、日中関係、台湾海峡、そして日本の外交戦略が試される局面である。