2025-11-08 コメント投稿する ▼
高市首相台湾有事「存立危機事態」発言に野田氏が警鐘「一人で先行する危険性」財政目標見直しも批判
10日以降の国会審議で追及する考えを示し、高市首相の発言の重大性を問題視する姿勢を鮮明にしています。 高市首相氏は2025年11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也氏への答弁で「戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と述べました。
高市首相の台湾有事発言に野党が批判
「存立危機事態」明言で立民・野田氏「危険性感じた」
立憲民主党の野田佳彦代表氏が2025年11月8日、台湾有事になれば集団的自衛権を行使可能な存立危機事態になり得るとした高市早苗首相氏の国会答弁に関し「とても驚いた。一人だけで先行して走っていく危険性を感じた」と宇都宮市で記者団に述べました。10日以降の国会審議で追及する考えを示し、高市首相の発言の重大性を問題視する姿勢を鮮明にしています。
高市首相氏は2025年11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也氏への答弁で「戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と述べました。台湾有事が存立危機事態にあたる可能性を現職首相が明言したのは初めてであり、日本の安全保障政策において重要な方向転換を示すものです。
歴代政権の慎重姿勢を逸脱
野田氏は「歴代首相は一定程度でとどめていた話だ。国内外に影響が出てくる」と指摘し、首相の発言は重いとの認識を示して「よく注意しなければいけないのではないか」と注文を付けました。これまでの政権が台湾有事への具体的な対応について曖昧な表現にとどめてきた中、高市首相の踏み込んだ発言は外交上の配慮を欠いているとの批判が高まっています。
台湾有事下での対応を明言することで中国への抑止力を高める思惑があるものの、国会のような公式の場で議論すれば緊張を高めかねないとの懸念の声もあります。沖縄タイムスは「戦略的互恵関係の推進を誓い合ったばかりの習近平国家主席の顔に泥を塗るのに等しい暴言・失言ではないか」と厳しく批判しています。
国民からも高市首相の発言に対して様々な反応が寄せられています。
「中国への牽制は必要だけど、もう少し慎重に発言してほしかった」
「台湾有事は現実的な脅威なんだから、はっきり言った方がいい」
「外交は言葉が命。首相の発言で緊張が高まるのは困る」
「野田さんも元首相なんだから、現実的な安保政策を考えるべきでは」
「戦争につながる発言は控えてほしい。平和外交を優先すべき」
プライマリーバランス目標も見直し
高市首相は同日の予算委員会で、もう一つの重要な政策転換も表明しました。国と地方の基礎的財政収支の黒字化目標について「単年度のPBという考え方は取り下げる」と述べ、「数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討している」と語りました。
野田氏は財政健全化目標の見直しについても「放漫財政になりかねない。そのリスクは十分にある」と疑問を呈しました。現在の物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策であり、物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されません。しかし、財政規律を軽視した政策運営には慎重な検討が必要です。
安全保障政策の大きな転換点
2015年に成立した安全保障関連法では、日本が直接攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる存立危機事態と政府が認定すれば、自衛隊が集団的自衛権を行使できるとされています。高市首相の答弁は、台湾有事の際に状況によっては自衛隊が米軍とともに武力行使に踏み切る可能性を示したものです。
高市首相は「台湾有事は深刻な状況に今、至っている。最悪の事態も想定しておかなければいけない」と指摘し、存立危機事態の認定に当たっては個別具体的な状況を総合的に考慮すると説明しました。一方で、民間船舶を動員した海上封鎖であれば「存立危機事態には当たらない」とも述べ、武力行使を伴う場合との区別を示しました。
野党の追及姿勢
共産党は「中国が台湾を武力統一する『台湾有事』が発生すれば、米軍の戦争に参戦する『存立危機事態』に該当する」との考えを示したことについて、国土戦場化の恐れがあると警戒しています。野党各党は今後の国会審議で、高市首相の発言の真意や政府の統一見解を厳しく追及する構えです。
高市首相の一連の発言は、日本の安全保障政策と財政政策の両面で従来路線からの大幅な転換を示すものです。国会での議論を通じて、これらの政策変更が国民生活や国際関係に与える影響について、十分な検証が求められます。