2025-08-14 コメント投稿する ▼
群馬県、ベトナム大学生インターン受入開始 山本知事は県職員国籍要件撤廃も検討
群馬県、ベトナム大学生インターンシップ支援を開始
群馬県は、県内企業とベトナムの大学生をつなぐ新たな取り組みとして、インターンシップ支援事業を進めることを発表した。山本一太知事は、県職員の国籍要件撤廃についても前向きに検討しており、外国人材の活用と県内の国際化に向けた動きが加速している。
近年、少子化や都市部への人口流出により、県内企業は深刻な人材不足に直面している。特に若年層の採用は厳しく、海外人材の受け入れに踏み切る企業が増えてきた。一方で、文化や言語の違い、受け入れ体制の整備など、多くのハードルが立ちはだかる。県はこうした課題を軽減するため、関係を深めてきたベトナムの大学との人材交流に力を入れることにした。
ベトナムFPT大学との連携と事業概要
対象となるのは、ベトナムのFPT大学で学ぶ日本語能力試験N3以上の4年生。彼らを県内企業に2週間受け入れ、半分以上の日数を就業体験にあてる。学生の専攻やスキルに応じて実習内容を決め、将来的に県内企業への就職や協業を検討してもらう狙いだ。
事業は令和7年度からトライアルとして始まり、受入企業は「海外人材獲得に積極的で、事業効果測定の調査に協力できること」「県内に事業所を持つこと」などの条件を満たす必要がある。実施は2026年1月以降で、森興産株式会社が業務委託事業者として運営を担うことが決まっている。
「短期インターンで終わらず、長期的な雇用につながる仕組みにしてほしい」
「人手不足解消のためなら外国人材活用も必要」
「地域に馴染むためのサポート体制が重要」
国籍要件撤廃と県の姿勢
山本知事が示した県職員の国籍要件撤廃の検討は、地方行政の国際化に向けた象徴的な動きだ。国籍要件の緩和は、優秀な外国人材が県政に関わる道を開く一方で、採用基準やセキュリティ面での課題も伴う。
県内では外国籍住民が増加し、地域社会の多様化が進んでいる。そのため、行政側も外国人住民の視点を取り入れやすくする体制づくりが求められている。しかし一方で、国籍要件の撤廃は地方自治体の人材選考基準を変える大きな決断であり、議会や県民の理解を得るプロセスが不可欠だ。
「行政の中枢に外国籍職員が入ることへの不安は拭えない」
「多様な人材の視点が行政サービス向上につながる」
地域経済と外国人材活用の課題
外国人材受け入れは、労働力不足を補うだけでなく、地域産業の国際競争力強化にもつながる可能性がある。特に製造業やIT分野では、技能や専門知識を持つ人材の確保が急務だ。ベトナムは人口構成が若く、理系教育にも力を入れており、日本語を学ぶ学生も増えている。
しかし、文化や生活習慣の違いによるトラブル、生活支援や住居の確保、日本語教育の継続など、受け入れ後の課題は多い。短期のインターンで信頼関係を築き、その後の採用につなげるためには、企業と自治体の双方で継続的なサポートが求められる。
せっかく来てもらっても、生活環境が整わないと定着は難しい
群馬県の今回の試みは、単なる労働力確保にとどまらず、将来的な県内定着を視野に入れた人材戦略だ。国籍要件撤廃の議論と合わせ、地域の国際化と経済活性化の両立を目指す政策が、どこまで実効性を持つかが今後の焦点となる。