2025-06-18 コメント投稿する ▼
石垣市長・中山氏に不信任決議 与党も「けじめ」で同調、5選出馬は既定路線か
突然の不信任可決、与党も賛成に回った真意
沖縄県石垣市の政治が大きく揺れている。4期を務めた中山義隆市長に対し、石垣市議会が不信任決議を可決。これは事実上、任期満了を待たずして退任が確定したことを意味するが、その背景には単なる「中山降ろし」ではない、複雑な事情がある。
与党からも賛成票が出たが、中山市長の支持を撤回する動きはなく、不信任は市長に対する政治的「けじめ」の意味合いが色濃い。専決処分を巡る不祥事で市役所幹部が決裁日を意図的に改竄、さらに議会で虚偽答弁を行っていた事実が発覚し、行政の信頼が失墜した。この問題を受け、与党も市政の信頼回復には一度リセットが必要と判断したとみられる。
与党会派代表の長山家康市議は、不信任に賛成した理由について次のように語った。
市長とたもとを分かったと誤解されないように丁寧に伝えたい
これは、中山氏への信任は維持しつつも、市政に対する信頼確保のために一定の“処分”が必要だという姿勢を示したものである。
「中山降ろし」は不発、5選出馬が既定路線
与党側からは次期市長候補として新たな名前は一切浮上しておらず、中山氏が再び市長選に出馬することは「既定路線」として捉えられている。市議会で不信任に必要な特別多数(3分の2)を確保できたのも、与党の中で最後まで反対を貫いたのは我喜屋議長と公明党所属の2人だけであり、実質的には「限定的な同意」による可決だった。
中山市長は現時点で進退を明言していないが、5選に向けた動きを見せれば与党からの支援は揺るがないとの見方が強い。
「なんだ、結局また出るのか」
「これで5選なら茶番じゃないの?」
政治的には、今回の不信任決議はあくまで“リセット”であり、中山氏自身に対する強い批判というよりも、「説明責任の不履行」に対する制度上の処理という位置づけである。
野党は高揚感も時間との戦い 革新系は候補一本化なるか
一方、野党・中立の側では、この急転直下の展開に高揚感が漂う。とりわけ中立会派の箕底用一市議が出馬の意向を示していることで、革新系野党の候補者調整に影響を及ぼしている。
現在の情勢では、革新系が箕底氏を統一候補として一本化する可能性が高まっており、共産党系の支持団体なども動き始めている。
「箕底さんは地元密着だし、中山さんに対抗するには妥当かも」
「革新も候補一本化できるなら勝負になるかも」
ただし、市長選が早ければ7月中に行われる見通しの中で、組織固めや支持基盤の拡大には時間的余裕がまったくない。これまで盤石だった中山陣営に一矢報いるには、異例のスピードと結束力が必要だ。
市民の信を問う形での再選戦略 中山氏の狙いは?
今回の不信任劇が、結果的に「中山氏を失職させたうえで、再選を問う」かたちに整理されつつあるのは、政治戦略上もしたたかな判断と言える。問題となった専決処分の改竄や虚偽答弁に対し、形式的な責任は取るが、実質的には市民の信任を改めて得ることで“免罪”とする意図があるのだ。
これまで4期にわたり石垣市を率いてきた中山市政は、尖閣諸島をめぐる国防・領海問題でも政府と連携し、国政とのパイプの強さをアピールしてきた。こうした実績に対して、対抗馬がどれだけ政策面・実務面で対抗できるかが勝負の分かれ目となる。
「一度けじめをつけて出直すなら、それも一つの責任の取り方」
市長選が中山氏と革新系の一騎打ちになる可能性が高まる中、焦点は不信任を“処分”と受け止めるか、“不適格”と見るかに分かれる。市民の判断が今後の市政のかじ取りを大きく左右することは間違いない。