2025-04-24 コメント投稿する ▼
陸自・消防・消防団が初の合同物資搬送訓練 石垣市、津波被害を想定し連携強化
石垣で初の陸自・消防合同搬送訓練
~津波による道路寸断を想定、地域防災力の底上げへ~
4月24日の「市民防災の日」に合わせて、石垣市で陸上自衛隊、消防本部、そして消防団が合同で初めて物資搬送訓練を行った。
この日は、津波の影響で幹線道路が使えなくなったという想定のもと、林道を使って救援物資や食料を住民に届けるという実践的な訓練が展開された。
地元の足で運ぶ、自衛隊のノウハウ活かす
訓練は、今年1月に陸自と石垣市消防本部が交わした災害時協力に関する覚書をもとに実施。災害時にいち早く支援を届けるため、徒歩による搬送技術に優れた陸上自衛隊がリードする形で、訓練内容が練られた。
この日参加したのは、陸自の隊員70人、消防職員6人、消防団9人。市内の石垣やいま村周辺を起点に、崎枝ぶざま岳南側を通る林道を通って、ミジュン崎東側まで約4キロを徒歩で進んだ。自衛隊員はそれぞれ10キロを超える荷物を背負い、4班に分かれて午前9時半から順次出発。消防や消防団のメンバーも続き、連携しながらの行動が確認された。
津波に備えて、住民支援の動線を確保
想定されたのは、津波により県道79号が寸断され、崎枝や川平地区が孤立状態になるというシナリオだ。自衛隊と消防の連携で、徒歩によるルートで物資を届ける体制を構築することが目的だった。
訓練には石垣駐屯地の中村康男司令も参加。現場では自ら指揮を執りながら、隊員たちに細かく指導を行った。消防側も「陸自のノウハウを学ぶ貴重な機会になった」としており、今後の災害対応への意識の高まりがうかがえる。
地域防災力を高める多機関連携
石垣市では、1771年の「明和の大津波」以来、津波被害の教訓を風化させないよう取り組みを続けている。防災訓練や地域の自主防災組織の育成、学校教育による啓発などを進めており、今回の訓練もその一環と位置づけられている。
また、今後はさらに規模を拡大した訓練も予定されており、米軍や陸海空の自衛隊が連携して孤立地区からの避難者搬送、物資投下などもシミュレーションされる見込みだ。市の担当者は「災害が起きる前の準備こそが、被害を最小限にする最大の手段」と話している。
- 石垣市で初めて陸自・消防・消防団による合同の物資搬送訓練を実施
- 津波で県道が使用不能になることを想定し、約4kmを徒歩で物資搬送
- 自衛隊が訓練を主導、消防や消防団と現場で連携
- 市は地域防災力の向上を狙い、今後は米軍や空自との連携訓練も視野に