2025-11-10 コメント投稿する ▼
麗澤大・八木秀次教授「国境地域は主権者教育が重要」石垣市議会「君が代決議」を評価
国境を接する石垣市の特性を踏まえ、主権者教育の重要性を強調する内容となっています。 八木教授は今回の市議会決議について「教育現場で国旗国歌の指導がきちんと行われていない懸念がある」と指摘しました。 国境を接する自治体として、主権者意識が他の自治体よりもいっそう求められると指摘しています。 こうした状況を踏まえ、八木教授は「国旗国歌の指導は主権者教育として行うべきもの」と位置付けています。
教育現場への適切なチェック機能
八木教授は今回の市議会決議について「教育現場で国旗国歌の指導がきちんと行われていない懸念がある」と指摘しました。二元代表制における市議会の役割として、「教育行政の在り方をチェックするということであり、違法ではない」と評価し、むしろ国歌が歌えるかをチェックせざるを得ない教育の在り方が問題と捉えています。
2025年9月24日に可決された決議は、与党議員から「子どもたちが国歌を歌えていないという保護者の懸念がある」との理由で提案されました。音楽の授業で君が代を学んだかや、入学式・卒業式で歌っているかなど4項目からなるアンケートを市内の小中学生対象に実施するとしています。
「国歌を歌えるのは基本的な教育だと思う」
「石垣市は国境の最前線、主権者意識は大切」
「子どもたちに正しい教育をしてほしい」
「政治介入という批判は的外れ」
「八木先生の指摘は正論だ」
八木教授は国旗国歌指導の法的根拠について詳細に説明しました。学習指導要領で義務付けられた指導に対し、当初は「教育の大綱であって法的拘束力はない」との反対論がありましたが、最高裁判決により法的拘束力が確認されています。
反対論への明快な反駁
国旗国歌法制定後も反対派が「強制は内心の自由の侵害」と主張したことについて、八木教授は明確に反駁しています。「学習指導要領で求めているのは国歌『君が代』を歌えるよう指導するということで、歌唱を強制するということではない」と説明しました。
具体的には「子どもの口をこじあけて歌わせるとか、歌わなければ家に帰さないとかは強制であり、許されない」としつつ、教員は児童生徒が実際に主体的に国歌を歌えるようになるまで指導する責任があると強調しています。
政治の不当な介入との批判については「教育基本法では、チェック機能を果たす役割までは禁止されていない」と反論。「むしろ今回は、国歌が歌われていない現状に対し、議会としてやむなく意見書という手段に出た」と評価しました。
石垣市の地理的特性と主権者教育
八木教授が特に重視するのは、石垣市の地理的特性です。国境を接する自治体として、主権者意識が他の自治体よりもいっそう求められると指摘しています。
石垣市は尖閣諸島を行政区域に含む国境の自治体です。尖閣諸島周辺では中国公船による領海侵犯が常態化しており、2025年4月には市が尖閣諸島対策室を設置して対応を強化しています。市では「尖閣諸島開拓の日」を制定し、児童生徒向け地域教材「たんけん!尖閣諸島」も作成するなど、領土教育に力を入れています。
こうした状況を踏まえ、八木教授は「国旗国歌の指導は主権者教育として行うべきもの」と位置付けています。国家への帰属意識、国家の構成員としての責任感を育み、国家の運営に主体的にかかわる意識を育てることの重要性を説いています。
「国旗国歌の指導にとどまらず、領土、領海、領空に関する教育も他の自治体よりも充実が求められるだろう」として、石垣市における教育の特殊性を認識する必要があると述べました。
沖縄戦の歴史を背景とした反対意見については、むしろ「将来を担っていく児童生徒に主権者意識をより明確に持たせるのか。あるいは逆に主権者意識のない市民を育てていくのか、その点が問われている」と問題提起しています。
市教育委員会は現在、「教育委員会としての政治的中立性、継続性や安定性について時間をかけて調査する」として慎重な姿勢を示していますが、八木教授の見解は教育現場における適切な指導の必要性を改めて浮き彫りにしています。国境地域という地理的条件を踏まえた主権者教育の重要性が、今後の議論の焦点となりそうです。