2026-01-11 コメント投稿する ▼
熊谷千葉県知事が衆院解散に苦言、解散権制限より必要なのはネット投票導入
千葉県の熊谷俊人知事が1月11日、衆院解散を巡る報道を受けてXに投稿し、波紋を広げています。熊谷氏は首相の解散権行使について問題提起する一方で、自治体職員の負担増に懸念を表明しました。しかし解散権の制限は政治停滞を招く危険性もあり、むしろネット投票などの選挙制度改革こそが急務だと専門家は指摘しています。
自治体職員の悲鳴と現実的な負担
熊谷知事は前回衆院選から1年3カ月しか経過していないことを挙げ、毎年のように国政選挙に駆り出される自治体職員の気持ちを思うといたたまれないと述べました。
自治体は現在、予算関連業務で最も多忙な時期を迎えています。高市早苗首相が打ち出した物価高対策の実行に向けて年度内の予算化を急ぐ中、選挙業務の負荷まで加わることへの苦言です。衆院解散で国の予算案や法案が年度内に成立しなければ、自治体業務にも深刻な影響が及びます。
しかし、この負担の本質的な問題は、解散権の有無ではなく、現行の選挙制度そのものにあります。投票所の設営、人員配置、開票作業など、膨大な人的・物的リソースを必要とする仕組みが、自治体に過重な負担を強いているのです。
「また選挙か、予算業務で手一杯なのに」
「投票所の準備だけで何百人も動員しなきゃいけない」
「開票作業で徹夜になるのは本当に勘弁してほしい」
「選挙のたびに通常業務が止まってしまう」
「ネット投票なら職員の負担も減るのに」
解散権制限の危険性を見過ごすな
熊谷氏は首相の解散権について、与党に有利で政権交代可能な政党が育ちにくい要因だと主張しました。しかし憲法学の観点からは、解散権の制限こそが政治停滞を招く重大なリスクを孕んでいます。
日本国憲法は第69条で内閣不信任案可決時の解散を、第7条で天皇の国事行為としての解散を規定しています。英国では2011年から2022年まで議会任期固定法により解散権が封印されましたが、Brexit問題で国民投票後の政治混乱が解消できず、レームダック化が深刻な問題となりました。
解散権は単なる与党の都合ではなく、重大な政治課題が発生した際に国民の信を問う民主主義の重要な装置です。これを制限すれば、内閣と議会の対立が膠着し、政策決定が停滞する危険性が高まります。
ネット投票こそが真の解決策
自治体の負担軽減と民主主義の活性化を両立させる答えは、解散権の制限ではなく、ネット投票など負担のかからない選挙制度の導入にあります。
エストニアでは2005年からネット投票を導入し、2023年の議会選挙では投票者の51.1%がネット投票を選択しました。無効票はわずか1票で、システムへの信頼性は極めて高く、1回の選挙あたり約1万1000時間分の労働時間削減を実現しています。
日本でも茨城県つくば市が実証実験を重ね、大阪府四條畷市では2024年12月に約8年ぶりとなる電子投票を成功させました。マイナンバーカードによる本人確認システムは、エストニアのIDカードと同様の機能を持ち、技術的基盤は整いつつあります。
政治停滞vs選挙負担という誤った二元論
熊谷氏の問題提起は、解散権制限か自治体負担増かという誤った二元論を生んでいます。しかし真の課題は、頻繁な選挙に耐えうる効率的な選挙システムの構築です。
解散権は首相や首長に与えられているからこそ、政治的膠着状態を打開し、重要政策について国民に信を問うことができます。これを奪えば、議会と内閣の対立が深まった際に打開策を失い、政治が機能不全に陥る危険性があります。
ネット投票が実現すれば、投票率の向上、開票作業の迅速化、選挙コストの大幅削減が期待できます。若年層の投票率向上にもつながり、デジタルデバイスを使いこなせない高齢者には従来の投票所を併用すればよいのです。
法改正と技術整備が急務
現行の公職選挙法は立会人が同席する投票所での投票を原則としており、ネット投票実現には法改正が必要です。総務省は在外選挙でのネット投票導入に向けて検討を進めていますが、国内選挙への拡大にはさらなる議論が求められます。
本人確認、投票の秘密保持、二重投票の防止、サイバー攻撃への対策など、クリアすべき課題は残されています。しかしエストニアをはじめとする諸外国の成功例が示すように、これらは技術的に解決可能な問題です。
解散権を制限して政治を停滞させるのではなく、ネット投票を導入して選挙の負担を劇的に軽減する。これこそが、自治体職員の負担と民主主義の活力を両立させる唯一の道です。高市政権には、この抜本的な選挙制度改革に踏み出す決断が求められています。