2025-11-17 コメント: 1件 ▼
熊谷俊人千葉県知事、安房高校で特別授業 生徒のトイレ改善要望に「急ピッチで取り組む」と約束、現場主義の政治姿勢アピール
「知事と考える南房総地域のこれから」をテーマとした授業では、生徒が校内設備の改善を直接"陳情"するという異例の展開となり、熊谷氏は「予算を大幅に増やしており、トイレ改修など急ピッチでやりたい」と即座に回答。 こうした対話形式の特別授業は、熊谷氏が千葉市長時代から継続している取り組みで、若い世代との直接的な意見交換を重視している表れだ。
現場主義で教育改革
熊谷知事、安房高校で特別授業 生徒の"トイレ陳情"に「急ピッチで改善」と決意表明
千葉県の熊谷俊人知事(46歳)が11月17日、館山市の県立安房高校を訪れ、3年生34人を対象とした特別授業を実施した。「知事と考える南房総地域のこれから」をテーマとした授業では、生徒が校内設備の改善を直接"陳情"するという異例の展開となり、熊谷氏は「予算を大幅に増やしており、トイレ改修など急ピッチでやりたい」と即座に回答。現場重視の政治姿勢を改めて印象づけた。
こうした対話形式の特別授業は、熊谷氏が千葉市長時代から継続している取り組みで、若い世代との直接的な意見交換を重視している表れだ。安房高校は1901年創立の伝統校で、X JAPANのYOSHIKI氏も卒業した県内屈指の進学校として知られており、「安房の子は安房で育てる」の理念のもと地域振興にも力を入れている。
生徒の率直な意見に知事も本気の回答
授業では生徒が校内の老朽化した廊下の床や汚れが目立つトイレの洋式化など、教育環境の改善を積極的に提案した。「環境改善は勉強のモチベーションがアップし、志願者数の増加につながる」という生徒の実体験に基づく意見に対し、熊谷氏は「県立学校の老朽化対策は待ったなしだ」と強い危機感を示した。
千葉県では近年、県立学校の施設老朽化が深刻な課題となっている。築30年以上の校舎が全体の約7割を占め、特にトイレ設備の改善は生徒や保護者から強く要望されている分野だ。熊谷氏は知事就任以来、教育予算の拡充を重点施策に掲げており、今回の"陳情"に対する前向きな回答は、その方針を具現化したものといえる。
生徒との対話では地方自治の魅力や地域活性化についても議論が展開された。熊谷氏は自身の経験を踏まえ、地方政治の意義や若い世代の参加の重要性について説明。政治家を目指すきっかけとなった阪神・淡路大震災での被災体験なども交えながら、リアルな政治の現場について語った。
「知事が直接来てくれて、私たちの意見を聞いてくれるなんて驚いた」
「トイレがきれいになれば、もっと学校生活が充実すると思う」
「地方政治って身近なところから変えられるんだと実感した」
「熊谷知事の話を聞いて、将来は政治に関わってみたいと思った」
「安房高校の環境改善、本当に期待しています」
メガソーラー問題でも情報リテラシーの重要性を説く
授業では南房総地域の課題として、鴨川市の山林で計画されている大規模太陽光発電施設についても議論となった。この計画は東京ドーム約30個分の146ヘクタールの山林を切り開いて太陽光パネル約47万枚を設置するもので、地元住民から土砂災害や環境破壊を懸念する声が上がっている。
熊谷氏は鴨川の将来に「責任を持つ形で向き合いたい」と真摯な姿勢を示す一方で、計画を巡りSNSなどで拡散する情報について「いま問題になっているのは何かを自分で調べることが大事だ」と強調した。情報の真偽を検証する「ファクトチェック」の重要性について熱弁をふるい、若い世代に正確な情報収集と判断力の必要性を訴えた。
このメガソーラー問題では、県が10月に工事の一時中止を要請し、11月には許可を得ていない森林での「誤伐採」が確認されるなど、事業者の対応に問題が続いている。熊谷氏は県として厳格な指導を継続する方針を示しており、住民の安全と環境保護を最優先に対応していく構えだ。
政治家としての原点を体現する現場主義
熊谷俊人氏は1978年生まれで、千葉市議、千葉市長を経て2021年に千葉県知事に初当選、2025年3月に再選を果たした。NTTコミュニケーションズ勤務を経て31歳で千葉市長となり、当時は政令指定都市で史上最年少だった。
千葉市長時代には市民参加型事業仕分けの導入や待機児童ゼロの達成など、市民目線での行政改革を推進。「未来のためなら石を投げられてもやることをやる」との信念で改革に取り組んできた。県知事としても現場重視の姿勢を貫いており、今回のような学校訪問を通じて県民との直接対話を重視している。
今回の安房高校での特別授業は、そうした熊谷氏の政治姿勢を象徴する取り組みといえる。生徒の率直な意見に真摯に耳を傾け、具体的な改善策を約束する姿勢は、従来の形式的な視察とは一線を画している。教育現場の実情を直接把握し、施策に反映させる現場主義の政治が、千葉県の未来を担う若い世代との信頼関係構築につながっている。