2025-08-28 コメント投稿する ▼
三菱商事が銚子沖洋上風力から撤退 熊谷千葉県知事「御社に振り回された」と遺憾表明
三菱商事が洋上風力から撤退 千葉県知事が「振り回された」と苦言
三菱商事が千葉県銚子市沖など3海域で進めてきた洋上風力発電計画から撤退すると発表した。28日、中西勝也社長が千葉県庁を訪れ、熊谷俊人知事に経緯を説明。「地域の皆さんの期待を裏切ったことは申し訳ない。洋上風力はいったん引くが、地域との共生は続けたい」と謝意を述べた。
しかし熊谷知事は「再生可能エネルギーの確保はもちろん、地域経済の活性化にも期待していた。大変遺憾だ」と強調。「県としても地元としても準備をしてきたが、御社に振り回された」と率直に不満を表した。面談は同社の希望で実施され、冒頭以外は非公開だった。
「結局大企業の都合で地域が犠牲になる」
「準備してきた地元は怒って当然だ」
「自然エネルギー推進の声と現実の壁が浮き彫りになった」
「国も責任を持って再公募すべきだ」
「大手商社に任せきりの構図が問題」
地域の期待と落胆
銚子沖は風況条件に恵まれ、政府の再生可能エネルギー戦略においても有望視されていた。漁業や観光との共存を模索しながら、地域経済の活性化を狙う計画として注目を集めてきた。県や地元自治体も協議を重ね、関連インフラ整備など準備を進めていたが、突然の撤退でその努力が宙に浮いた。
熊谷知事は同日の記者会見でも「政府は速やかに完遂可能な形での再公募を」と求め、同社には「地元に対し継続的な地域活性化策を示してほしい」と注文を付けた。地域住民にとって、計画が再び動き出すのか、それとも停滞するのかは大きな関心事である。
洋上風力をめぐる課題
洋上風力発電は日本の脱炭素戦略の柱として位置づけられているが、大規模事業には建設コストの高さや技術的課題がつきまとう。国際的にも投資環境が不安定化しており、欧州では撤退や計画縮小の例も相次いでいる。日本でも採算性や地域調整をめぐる課題が表面化し、官民双方の調整力が試されている。
また、地元漁業者や住民の理解を得ることも不可欠であり、今回の撤退は「地域との合意形成の難しさ」を浮き彫りにした。再エネの推進が叫ばれる一方で、現場では制度設計や実務調整が追いついていない現実がある。
国と企業に求められる責任
熊谷知事の発言は、大企業の一方的な判断が地域に深刻な影響を及ぼす現実を示した。再公募を通じて計画を前進させるには、政府が主導し責任ある枠組みを構築することが不可欠だ。
三菱商事にとっても、単なる撤退で幕引きにするのではなく、地域との信頼関係を維持する取り組みが求められる。脱炭素社会への移行が進む中、企業と自治体、住民が共に責任を担う形をいかに作れるかが、今後の再生可能エネルギー政策の成否を左右する。