2026-02-25 コメント投稿する ▼
公約渡良瀬遊水地イノシシ1044頭、農家「田んぼ全滅」人身被害も、堤防被害5年で30倍
栃木、群馬、茨城、埼玉の4県にまたがる渡良瀬遊水地で、イノシシが大繁殖しています。2024年度の生息数は1044頭に達し、初めて1000頭を超えました。周辺の農地では「田んぼ全滅」という悲鳴が上がり、人身被害も3件発生しています。イノシシは市街地にまで出没し、住民の庭で昼寝をする個体も確認されました。
2年で倍増、捕獲が追いつかない現実
渡良瀬遊水地連携捕獲協議会の調査によると、イノシシの生息数は2022年度が488頭、2023年度が834頭、2024年度が1044頭と急増しています。わずか2年で倍増した計算です。
遊水地周辺にはわなが200基以上設置されており、2024年度は263頭が捕獲されました。しかし、捕獲作業を担当する技師は「毎日捕獲が続いているが、それ以上にイノシシの急増を感じる」と話しています。
遊水地での初確認は2009年ごろで、2019年度には205頭になりました。栃木県自然環境課は「天敵不在で身を隠す場所も多い遊水地は絶好の繁殖環境」と説明しています。
「田んぼ全滅」農家の悲鳴
渡良瀬遊水地周辺では、深刻な農業被害が発生しています。
栃木市のコメ農家・福地さんは「収穫間近に入ってくるのが多い。どうしようもない」と話します。侵入を防ぐため柵を設置しても、イノシシは得意の穴掘りで田んぼに侵入してしまいます。去年はコメの収穫が3割減ってしまいました。
別のコメ農家は「下の田んぼなんか全滅だった」と証言しています。イノシシが入り込んで毎日のように荒らしていくため、全滅してしまった田んぼもあったといいます。
コメ農家の赤坂さんは「実るとやたら入ってきますね。味が分かっています」と話します。これは2023年、収穫を間近に控えた赤坂さんの田んぼの様子です。広範囲で稲が倒れてしまっており、収穫直前にイノシシに荒らされ新米は廃棄処分になりました。
赤坂さんは深夜の見回りを日課としていました。稲穂の中から2頭のイノシシが現れ、毎晩追い払っていましたが、いたちごっこだといいます。
埼玉県加須市では、2024年度に34アールの田んぼがイノシシに荒らされました。4月から8月にわなで捕獲されたイノシシは16頭で、すでに前年度の15頭を超えています。
「田んぼ全滅した。イノシシに毎日荒らされて、もうどうしようもない」
「収穫直前の稲が全部倒されて、1年の苦労が水の泡になった」
「庭で大きなイノシシが昼寝してた。体長1メートルはあって、びっくりした」
「通学路になってるから、孫が襲われないか心配で仕方ない」
「毎日捕獲してるのに追いつかない。増える速度が速すぎる」
人身被害3件、13針縫うけがも
渡良瀬遊水地周辺では、2024年度にイノシシと接触してけがをするなど、人身被害が3件発生しています。
遊水地に隣接する住宅街に暮らす女性は、自宅の庭で大きなイノシシが昼寝をしていたといいます。「体長が1メートルはあった。びっくりして雨戸をバンバンたたいた。怖いですよ。孫がここを通学路にしているんで」と不安を口にします。
福岡市の住宅街で撮影された映像では、イノシシが突如猛突進し、歩行者の男性にタックルを加えて跳ね飛ばしました。さらに倒れこんだ男性に対して執拗に攻撃を繰り返しました。男性は太ももなどをかまれ、13針を縫うけがをしました。
東京・八王子市では、突然道路に飛び出してきたイノシシと車が衝突しました。まるで岩とぶつかったような衝撃を受けたといいますが、イノシシは何事もなかったかのように起き上がると、道路脇のフェンスを突き破り走り去っていきました。
堤防掘り起こし被害、5年で30倍
イノシシによる遊水地周辺の堤防掘り起こしなどの被害は、5年で約30倍と急増しています。災害時の治水機能低下が懸念されています。
公園の芝生は見る影もなく穴だらけになり、歩道の防護柵の土台がむき出しになってしまっている場所もあります。周辺のゴルフ場では、芝生がはぎ取られてしまっている場所もあり、去年、イノシシの侵入を防ぐための柵を設置したといいます。
鳥獣保護区のため銃使用困難、わなでの捕獲が限界
渡良瀬遊水地は国指定の鳥獣保護区となっています。さらには公園や遊歩道があるため、一般の人の利用が多いです。そのため、栃木県の担当者も生態系への影響や安全面を考慮し、銃を使用した駆除が難しいと話しています。
わなを仕掛けての駆除・捕獲が現状の対策になっていますが、繁殖力の高いイノシシの増加に追いつかない状況です。
2025年10月、栃木市、古河市など渡良瀬遊水地周辺の4市2町は、国にイノシシ対策を講じてほしいと要望を行いました。赤坂さんは「遊水地から市街地へ100パーセントふさぐっていうのは難しい。地域一帯で全部やらないと、遊水地の中から外に出ないように対策を講じなければ無理」と話します。
ゲリラ豪雨で拡大の恐れ、関東市街地に侵入か
イノシシの生態に詳しい宇都宮大学の小寺祐二准教授によると、イノシシが渡良瀬遊水地に現れた経路には2つの可能性があります。
1つ目は、上流部の山から河川の増水で流されてきたという点です。イノシシは泳ぎが得意で、流されても生き残ったのではないかということです。
2つ目は、山から河川沿いを移動してきたのではないかということです。
渡良瀬遊水地は、広大なヨシ原が広がり、植物の根などの餌が豊富で、隠れる場所が多い環境です。こうした環境は、警戒心が強く身を隠せる場所を探しているイノシシにとって理想的です。さらに、イノシシは繁殖力が高く、こうした環境では妊娠率が上がり、死亡率が低下していきます。
小寺准教授は今後について「ゲリラ雷雨が多発するとイノシシが下流域に流されるリスクが高まる。関東の市街地やその周辺にある緑地で局地的にイノシシが増えていく可能性もある」と警告しています。
この投稿は福田富一の公約「ネイチャーポジティブ実現に向けた外来種・獣害対策の推進」に関連する活動情報です。この公約は点の得点で、公約偏差値、達成率は0%と評価されています。