2025-12-08 コメント投稿する ▼
金融庁が地域金融力強化プラン策定へ 信金に最大150億円補助、公的資金申請期限撤廃で統合促進
金融庁が検討する地方銀行などの地域金融機関を対象とした「地域金融力強化プラン」の概要が2025年12月8日に明らかになりました。 信用金庫や信用組合が共同システムを維持するコストに対し最大150億円をめどに補助する方針が判明し、財務基盤強化のための公的資金注入制度については2026年3月末の申請期限を事実上撤廃する方向で調整が進んでいます。
金融庁、信金に最大150億円補助へ 地域金融力強化プラン概要判明、公的資金申請期限撤廃も
金融庁が検討する地方銀行などの地域金融機関を対象とした「地域金融力強化プラン」の概要が2025年12月8日に明らかになりました。信用金庫や信用組合が共同システムを維持するコストに対し最大150億円をめどに補助する方針が判明し、財務基盤強化のための公的資金注入制度については2026年3月末の申請期限を事実上撤廃する方向で調整が進んでいます。
強化プランは月内の策定を目指しており、再編交付金と公的資金注入制度の大幅見直しが柱となっています。金融機能強化法改正案に盛り込み、年明けの通常国会への提出を予定しています。地域金融機関の経営環境が一段と厳しくなる中、政府として地域金融力の維持・強化に向けた支援を大幅に拡充する姿勢を鮮明にしました。
再編交付金を30億円から50億円に大幅引き上げ
再編交付金については、2026年3月末となっている申請期限を延長し、上限も現行の30億円から50億円程度まで大幅に引き上げることが判明しています。特に業態を超えた統合を促進するため、信金や信組といった協同組織金融機関と地方銀行が合併する場合は25億円程度を上乗せする仕組みを新設します。
これまで地域金融機関の再編は同業態内での統合が中心でしたが、人口減少や低金利環境の長期化により、業態の枠を超えた再編が必要との認識が高まっています。実際に今年の夏頃から地方銀行と信用金庫の統合観測が浮上しており、制度面からこうした動きを後押しする狙いがあります。
「地域金融機関の統合は避けられない流れ」
「業態を超えた再編でコスト削減が期待される」
「補助金があるなら合併を検討したい」
「地域のためには強い金融機関が必要」
「システム統合費用が軽減されるのは大きい」
合併しないまでもシステムを共同化する金融機関の枠組みに新規加盟した場合は15億円程度の補助を行います。サイバーセキュリティ対策やマネーロンダリング防止などの非競争分野での共同対応が重要性を増している中、効率的な対応を支援する方針です。
公的資金制度の申請期限を事実上撤廃
金融機能強化法に基づく公的資金注入制度については、現在2026年3月末に設定されている申請期限を事実上撤廃する方向で検討が進んでいます。これは地域金融機関が安定的に地域金融力を発揮するための制度的環境整備の一環として位置づけられています。
同制度は2004年に創設された時限立法で、これまで3回の大幅改正を経て期限延長が繰り返されてきました。当初は金融機関の予防的資本増強が目的でしたが、現在は「地域の中小企業に対する支援機能の強化」に重点が移っています。
東日本大震災時に設けられた震災特例や新型コロナウイルス感染症特例などの措置についても、大規模災害や経済危機に迅速に対応できるよう常設化する方向で検討しています。これにより、将来の不測の事態に対してタイムラグなく適切な支援が可能になります。
地域金融力強化への政策総動員
今回の強化プランは、人口減少・少子高齢化が進行する中で地域経済の持続的発展を支えるため、地域金融機関に求められる役割の変化に対応したものです。単なる資金供給にとどまらず、企業のM&A支援、事業承継、DX支援、官民連携のまちづくり参画など、幅広い地域金融力の発揮が期待されています。
金融庁は2025年8月に公表した金融行政方針で「政策を総動員」して地域金融力強化に取り組む方針を明記しており、今回の施策パッケージはその具体化といえます。地域金融機関をはじめとする様々なプレイヤーが連携して地域経済に貢献する力を発揮できるよう、制度面からの支援を強化します。
金融審議会の「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」では、学者やシンクタンク、商工団体の専門家10人超が月1回程度の議論を重ねており、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合の各業界関係者もオブザーバーとして参加しています。
実際に金融機能強化法による資本注入を受けた銀行は、非注入行よりも総貸出や中小企業向け貸出を増加させており、特に震災特例による資本注入行は担保や保証を利用せずに中小企業向け貸出を増加させるなど、地域経済の下支えに効果を発揮している実績があります。
今回の制度拡充により、地域金融機関の再編が加速し、より強固な経営基盤を持つ金融機関が地域経済を支える体制が構築されることが期待されます。一方で、過度な保護策との批判もあり、金融機関の自助努力とのバランスが重要な課題となりそうです。