2025-11-25 コメント: 1件 ▼
高市早苗政権、租特・補助金見直し始動 片山担当相がSNS意見募集と公開討論
政府として「責任ある積極財政」を打ち出しながらも、無駄な支出を削り、政策の優先順位を明確にすることが目標です。 高市政権が掲げる減税・戦略投資の両輪を回すには、租特・補助金の“再配置”が不可欠です。 片山氏自身も指摘したように「各省庁がしがみついて持っている」制度を動かすには、担当相だけでなく関係大臣・省庁の説得や調整が不可欠です。
租税特別措置・補助金見直し始動 高市早苗政権「責任ある積極財政」へ舵
“無駄な減税”一掃へ 片山さつき担当相がSNS意見募集と公開討論
支出効率化で浮かぶ課題 「日本版DOGE」構想の現実性
租特・補助金見直しの新体制が始動
2025年11月25日、首相・高市早苗氏を中心とする政権は、複数の省庁を横断して「租税特別措置・補助金見直し担当室」を設置し、租税特別措置(以下「租特」)と補助金の全面的見直しに乗り出しました。政府が「無駄な企業向け減税や補助金」を洗い出し、戦略的投資を優先するという姿勢を明確に打ち出したことが最大のポイントです。
担当相には片山さつき氏が就任。会見で「足元の令和8年度予算の編成や税制改正作業から必要な見直しを実施し、見直し可能なものはすぐに反映していく」と語りました。
片山氏は、来週にも省庁の副大臣級を集めた全省庁連絡会議を立ち上げ、そこで検討を具体化するとしています。併せて、SNSを活用して国民から広く意見を募る方針も示しました。
公開討論も辞さぬ姿勢 透明性をアピール
片山担当相は報道陣の前で、「『これはおかしいよね』と議論になるものを、各省庁がしがみついて持っている場合がある」と吐露しました。さらに「相手の大臣はまだ説得していないが、公開討論ありだと思う」と、関連閣僚との議論を公開する構えも打ち出しました。
この発言には、政権内部だけでなく、国民や企業、専門家も巻き込んで議論を進めようという“オープンな政策決定”の姿勢が伺えます。一方で、実際にどこまで透明性を確保できるかは今後の運用にかかっています。
「日本版DOGE」構想とその狙い
報道によれば、新体制は米国の政府効率化機関を引き合いに出し、政府支出や租特・補助金の効率化を図る「“日本版DOGE”」と称されています。
これまで日本では、租特や補助金が政策目的達成のために設定される一方で、実際の効果や再検証が十分に行われてこなかったという批判が根強くあります。今回の見直しの狙いはまさにそこにあります。政府として「責任ある積極財政」を打ち出しながらも、無駄な支出を削り、政策の優先順位を明確にすることが目標です。
政策的インパクトと課題
まず、今回の動きは、政府が財政の「量」ではなく「質」を問う段階に入ったことを示します。高市政権が掲げる減税・戦略投資の両輪を回すには、租特・補助金の“再配置”が不可欠です。
しかしながら、無駄を切るとは言え、企業向け減税や補助金を廃止・縮小することは、当然ながら産業界・地域社会に波を及ぼします。例えば、既に補助金に頼っていた中小企業・地方自治体などにとって、突然の見直しは打撃となりかねません。
また、省庁間の利害調整も見逃せない課題です。片山氏自身も指摘したように「各省庁がしがみついて持っている」制度を動かすには、担当相だけでなく関係大臣・省庁の説得や調整が不可欠です。「公開討論」を掲げても、その実効性、政策決定過程の透明性がどこまで担保されるかは不透明です。
さらに、「責任ある積極財政」の名のもとで戦略投資を打ち出す際、減税優先を掲げる立場としては、補助金削減と減税のバランスをどう取るかが鍵となります。景気低迷が続く中、支出を削ることと成長を促す施策を両立させるのは容易ではありません。
率直に言えば、この見直しはタイミングも含めて評価に値する動きです。高市政権の「減税優先」「戦略投資重視」という方針に合致しており、租特・補助金という“見えづらい支出”にメスを入れるのは避けて通れないテーマです。
しかし、政策として成功させるためには、国民や企業・自治体への丁寧な説明と段階的な実行が必須です。急激な補助金削減や減税放置では、地域経済の落ち込みや産業空洞化を招く恐れがあります。私からの提言としては、公開討論を活用して「どこを切ってどこを残すか」「支援が必要な分野はどこか」を透明にし、国民の理解を得たうえで実行することが重要です。
また、支出削減ばかりを強調してしまうと、「支援を受けてきた産業・地域に冷たい政府」という印象を与えかねません。だからこそ、見直しと同時に「どのような戦略投資を行うのか」「その見返りを国民にどう還元するのか」を明確に示す必要があります。
最後に、これは政府・与党だけの戦いではありません。補助金・減税が取り持ってきた社会構造を変えるには、民間・地方自治体・国民が巻き込まれた議論が不可欠です。高市政権がこの点をいかに踏まえて進めるか、今後の動きを注視すべきです。