2025-11-21 コメント: 1件 ▼
片山財務相、為替介入「当然考えられる」と明言 高市政権の積極財政政策で円安加速
高市政権の「積極財政」政策が市場に強い警戒感を与える中、片山さつき財務相が為替介入を「当然考えられる」と明言したことは、政府の危機意識の高まりを如実に示しています。 高市首相は「責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と経済財政政策の基本方針を力強く宣言していましたが、市場は明らかに「積極」の部分のみに反応し、「責任ある」という修飾語を軽視している状況です。
急激な円安進行と政府の警戒感
片山さつき財務相は11月21日の閣議後記者会見で、円安が進む現状を巡り、為替市場における過度な変動や無秩序な動きに対し「9月に発出した日米財務相共同声明の考え方を踏まえ必要に応じて適切な対応をとる」と述べました。記者からの質問に対し、為替介入が選択肢として「当然考えられる」と強調し、政府の強い警戒感を示しました。
21日の外国為替市場で円相場は1ドル157円台半ばで推移しており、同日閣議決定される大規模な総合経済対策を巡り、財政拡張への懸念が広がっている状況です。片山氏は足元の動きについて「非常に一方的で急激だと憂慮している」との見方を示し「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」と強調しました。
大規模経済対策が招く市場混乱
今回の円安進行の大きな要因は、高市政権が打ち出した大規模な総合経済対策にあります。総合経済対策の規模は大型減税の効果を含めて21.3兆円ほどになる見通しで、財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出は17.7兆円ほどで、2024年度の13.9兆円を上回る規模となっています。
政府が取りまとめを進める経済対策を巡って、裏付けとなる補正予算が昨年を大幅に上回る17兆円規模と報じられたことから、財政悪化への懸念が売り要因になったことが明らかになっています。
長期金利上昇と債券市場の動揺
円安と同時に深刻化しているのが長期金利の急激な上昇です。超長期債を中心に債券も売られ、20日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時1.835%と、約17年半ぶりの高さをつけました。
国債も売られ、同日には長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、1.750%に上昇。2008年6月以来、約17年半ぶりの高水準となったことで、市場関係者の懸念は一層深刻化しています。
「責任ある積極財政」の矛盾
高市首相は「責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と経済財政政策の基本方針を力強く宣言していましたが、市場は明らかに「積極」の部分のみに反応し、「責任ある」という修飾語を軽視している状況です。
片山氏は米国の高関税政策の影響で輸出がマイナスになったことなどに触れ、「景気・経済対策を打つには十分な理由がある」と説明した。その上で「積極財政ではなく、責任ある積極財政と申し上げ続けている」と改めて強調しましたが、市場の反応は容赦ありません。
金融政策との整合性への疑問
さらに問題を複雑化させているのが、日銀との政策協調の問題です。片山氏は11月19日に植田和男日銀総裁、城内実経済財政相と会談した。片山氏は会合後に「為替については具体的な話は出なかった」と話した。市場で政府・日銀による為替介入への警戒感がやわらぎ、円が売られやすくなったという皮肉な結果を招いています。
警戒度合いの段階的引き上げ
片山財務相の発言は段階的に警戒度を引き上げています。片山財務相はこれまでも閣議後会見などで円安をけん制する場面があったが、「マイナス面が目立っている」との表現は初めて。警戒感の度合いを一段上げたと評価され、片山財務相が為替について「憂慮」との表現を用いたのは初めてで、警戒の度合いを一段引き上げた格好となりました。
政策の根本的矛盾
高市政権が直面しているのは、政策目標と市場現実との根本的な矛盾です。高市内閣の最優先事項として物価高への対応を挙げながら、「責任ある積極財政」により強い経済を作る決意を強調していますが、大規模な財政出動は円安と金利上昇を通じて、かえって物価高を加速させる結果を招いています。
片山財務相の為替介入示唆は、高市政権の経済政策が市場との深刻な対立を引き起こしている現実を浮き彫りにしました。「責任ある積極財政」という看板と実際の政策規模との乖離が、市場の信認を大きく損なう結果となっています。