2025-05-07 コメント投稿する ▼
自民・西田昌司氏、『ひめゆりの塔』展示批判発言 撤回せず、沖縄県内で波紋広がる
西田議員、「ひめゆりの塔」展示に「歴史の書き換え」発言 撤回せず
自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)は、沖縄県糸満市にある「ひめゆりの塔」の展示内容について「歴史の書き換え」と発言したことに対し、7日に国会内で記者団の取材に応じ、発言を撤回する考えがないことを明らかにした。西田氏は「切り取られた報道が広がっていくことに危うさを感じる」と述べ、自身の発言が誤解されていると主張した。
発言の背景と主張
西田氏は、5月3日に那覇市で開催された憲法改正に関するシンポジウムで講演を行い、その中で「ひめゆりの塔」の展示内容について「歴史を書き換えている」と発言した。彼は、終戦直前に沖縄が米国に占領されるという情報が入り、日本軍が沖縄を守るために入ってきた結果、戦争に島民も巻き込まれて多くの犠牲を出したと述べた上で、「展示物の印象は、まさに日本軍が入ってきて戦争が始まり、米国が入ってきて戦争が終わり、平和になったという文脈だ。そうした文脈では沖縄の方々は救われないのではないかという趣旨の話をした」と説明した。
また、西田氏は「連合国、米国が正しいという歴史観で歴史が塗り替えられた」とも発言し、東京裁判による歴史観が現在も報道や教育、政府を含めて続いていると主張した。彼は、「本来、日本人がやらなければならないのは、占領中に作られた仕組みや体制を国民にしっかりと話し、理解してもらい、歴史観を取り戻すことだ。その結果が憲法改正だ」と訴えた。
批判の広がりと関係者の反応
西田氏の発言に対して、沖縄県内外から批判が広がっている。ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は、西田氏の指摘した展示内容について「過去も現在もそうした記述はない」と否定し、「非常に疑問だ」と述べた。また、沖縄県議会の与党会派は発言の撤回を求める抗議決議を提案し、野党の自民・無所属や中立も同意しており、全会一致で可決される見通しだ。公明党県本部も発言の撤回などを求める声明を提出し、自民党県連も党本部への抗議を検討している。
さらに、立憲民主党や共産党などの野党からも厳しい声が上がっており、沖縄戦の実相をゆがめるような発言だとして、各党が一致して撤回と謝罪を求めるべきだとの意見が出ている。
西田氏の対応と今後の展望
西田氏は、「県民や関係者を傷つけたという報道になっているが、全くそういう意図はない。私の意図とは無関係に切り取られた記事が誤解を生んだ。結果として傷ついた人がいるのであれば遺憾だ」と述べたが、発言の撤回については「もちろんない。事実を言っているから」と話し、謝罪や撤回の意思がないことを明確にした。
今回の発言は、沖縄戦の歴史認識や平和教育のあり方に対する議論を再燃させる可能性があり、今後の政治的な影響が注目される。
* 西田昌司参院議員が「ひめゆりの塔」の展示内容を「歴史の書き換え」と発言。
* 発言の撤回や謝罪の意思はなく、「事実を言っている」と主張。
* ひめゆり平和祈念資料館の館長は、指摘された展示内容は存在しないと否定。
* 沖縄県議会や公明党、自民党県連などから発言撤回を求める動きが広がる。
* 今回の発言が沖縄戦の歴史認識や平和教育に与える影響が懸念される。