2025-06-17 コメント投稿する ▼
【選択的夫婦別姓】吉川里奈氏が参考人質疑で賛成派と対峙「法改正には冷静な事実と数字が必要」
ごまかしの夫婦別姓議論に一石 参政党・吉川里奈氏が国会で反論「平等な制度とは言えない」
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる議論が続く中、6月17日の衆院法務委員会で行われた参考人質疑では、参政党の吉川里奈議員が賛成派の参考人に対し、複数の論点から疑問を投げかけた。制度導入ありきの姿勢や曖昧なデータに基づいた議論に異議を唱え、「少数の声を制度に反映させることで、多数派の不安が置き去りにされていないか」と鋭く切り込んだ。
参考人の側からは即座に反論が出たが、発言の一部には「答える必要はない」や「図に示していない」といった一方的な態度も見られ、制度議論の不健全さが逆に浮き彫りとなった。
「トランス問題を語らず、平等を語るのか」制度の背景に疑問
吉川氏は冒頭、国民民主党推薦の参考人で、夫婦別姓訴訟の弁護団長でもある寺原真希子氏の経歴に触れたうえで、「トランス女性による女性専用スペースの利用をめぐり、不安を感じる女性の声が実際にある。ジェンダー平等を掲げるなら、その矛盾をどう考えるか」と問いかけた。
しかし寺原氏は、「今回の法案とは関係がない」として、質問に答えることを拒否。吉川氏は表情を変えず静かに受け止めながらも、制度を語る上で都合のよい論点だけを切り出す姿勢に「本当に国民全体の声を聞いているのか」と疑問を投げかけた。
「答えたくない質問には“関係ない”で逃げるの、国会なのに失礼すぎる」
“58万人”の虚構? 調査の前提と数字の正当性を問い直す
議論の中心となったのは、夫婦別姓を求める声が「約58万人に上る」とされた調査の根拠だった。立憲民主党推薦の参考人で、一般社団法人「あすには」代表の井田奈穂氏は、事実婚者のうち「制度ができれば婚姻届を出す」と答えた割合から人数を推計したと説明。
しかし吉川氏はこれに異を唱え、「社会調査において“意向通りに行動する”人は5割から7割程度にとどまるというのが通説。それを前提にしていない点は明らかに精度を欠いている」と指摘。さらに、参政党独自の調査では、事実婚者の割合は1.3%に過ぎず、そのうち6割は制度が変わっても婚姻届を出さないと答えたと紹介。「丁寧に統計学的に再推計した結果、実際に婚姻届を出す可能性のある人は3.8万〜15.8万人が妥当であり、“58万人”は過大評価だ」と述べた。
井田氏は「法改正前の意向を法改正後の行動と結びつけるのは難しい。逆にどう推計するか聞きたい」と反論したが、根拠となる数字を提示することはなかった。
「“58万人”の数字、ずっと気になってた。吉川議員の指摘は正しい」
「図に示さないのは不平等」賛成派参考人の態度に疑問の声
続けて登壇した志牟田美佐氏(公明党推薦・男女共同参画学協会連絡会)は、井田氏への批判が出た場面で「井田さんはちゃんと図でデータを出しているが、吉川さんは口頭で述べているだけ。それでは比較にならない」と発言。
しかし吉川氏は、党としてのアンケート調査結果と具体的な数値を挙げながら説明しており、委員会内でも「そもそも国会議員は質疑で資料を使う義務はない」「データの正当性の本質はそこではない」との声もあがった。
「“図じゃないと認めない”って、それこそごまかしでしょ」
改正ありきの議論に疑問を突きつけた意義
今回の質疑は、夫婦別姓に対する“賛成ありき”の空気が漂う中で、吉川氏が一貫して「法制度の改正とは、生活と法秩序の根幹に関わる問題である以上、慎重でなければならない」と立場を貫いた点に大きな意味があった。
特に、制度導入によって「実際に結婚する人がどれだけ増えるのか」「家族制度への社会的影響がどうなるか」など、肝心の“結果”を測る議論があまりにも曖昧であることを可視化させた。感情論ではなく、事実と法に基づく冷静な視点を示したことにより、議論の質を引き上げたとも言える。
「選択的夫婦別姓、賛成でも反対でも冷静な数字の話をすべきだよな」