2025-11-19 コメント投稿する ▼
瀬戸内海で養殖カキ8割大量死、気候変動影響で兵庫県も被害拡大し事業者支援検討
兵庫県の斎藤元彦知事が2025年11月19日の定例会見で明らかにしたところによると、県内の播磨灘でも養殖カキの約8割が死ぬ深刻な被害が発生していることが判明しました。 この問題は広島県で10月に水揚げが始まった養殖カキの8~9割が死んでいることから注目されており、瀬戸内海全域に被害が拡大している状況です。
瀬戸内海で養殖カキが前例なき大量死
兵庫県の斎藤元彦知事が2025年11月19日の定例会見で明らかにしたところによると、県内の播磨灘でも養殖カキの約8割が死ぬ深刻な被害が発生していることが判明しました。この問題は広島県で10月に水揚げが始まった養殖カキの8~9割が死んでいることから注目されており、瀬戸内海全域に被害が拡大している状況です。
斎藤知事は「大変残念に思っている」と述べ、12月議会に提出する補正予算案に事業者への支援策を盛り込むための検討を指示したと説明しました。カキの被害による観光誘客への打撃も懸念されており、事業者への支援と同時に観光PRのサポートも検討していく方針を示しています。
「これは生きた心地がしない。この何十年で初めての事態だ」
「収入の見通しが立たない。この異常事態がいつまで続くのか不安」
「全滅状態は初めて。殻の中が空っぽでどうしようもない」
「来年出荷予定のカキも既に9割に被害が出ている」
「海が変わった。こんな大量死は前例がない」
瀬戸内海全域に拡大する被害
水産庁による各県への調査によると、養殖カキの大量死は広島県だけでなく、岡山県、兵庫県、愛媛県、香川県など瀬戸内海沿岸の広域で発生していることが明らかになりました。この地域は全国のカキ生産量の約81%を占める重要な産地であり、今回の被害は業界全体に深刻な影響を与えています。
広島県では県内全域で被害が確認されており、坂町では「全滅に近い」状況、広島市では「9月に1割だったへい死が10月に5割に増加」、福山市では「10月中旬から急増」という状況です。特に深刻なのは、来年出荷予定のカキまで多数死んでいることで、来シーズンの生産にも大きな影響が予想されます。
兵庫県でも例年2~5割のへい死だったものが、今年は最大8割が死んでいる地域があり、岡山県では県の事前検査で4~5割のへい死が確認されています。鈴木憲和農林水産大臣氏は11月19日に東広島市の養殖場を視察し、「本当に厳しい状況だと理解した。経営を支える観点を持って引き続き対応していく」と述べました。
高水温と高塩分が引き起こした複合要因
広島県水産海洋技術センターの調査によると、今回の大量死の主な原因は高水温と高塩分の環境に長時間さらされたことによる生理障害と推定されています。県内の9月の海水温が平年より平均2.4度高く推移し、降雨が少なかったことで塩分濃度も高止まりしました。
この高水温と高塩分という二つのストレスが同時に作用したことで、カキが産卵後にへい死する水準になったと分析されています。夏場以降、水温が高い時期が長く続いたことや、植物プランクトンの発生が少なかったことも影響したとみられ、複合的な環境変化が大量死を引き起こしました。
興味深いことに、通常の二倍体だけでなく、産卵せず夏でも身が痩せない三倍体のカキでも同様の被害が発生しており、従来の品種改良だけでは対応できない深刻さを示しています。
気候変動が養殖業に与える深刻な影響
今回のカキ大量死は、気候変動が水産業に与える影響の典型例として注目されています。気象庁のデータによると、日本近海の海水温は過去100年間で1.28度上昇しており、これは世界平均の約2倍のスピードです。特に瀬戸内海のような閉鎖性海域では、海水温上昇の影響がより顕著に現れる傾向があります。
水産庁の気候変動適応計画では、高水温への耐性を持つ養殖品種の開発や魚病対策の強化が急務とされています。しかし現実には、今回のような複合的な環境変化に対する適応策の開発は追いついておらず、生産者は厳しい状況に直面しています。
カキ以外でも、ホタテガイの大量へい死、ノリの生産量減少、ワカメの収穫量激減など、養殖業界全体が気候変動の影響を受けています。徳島県では鳴門ワカメの生産量が15,000トンから5,900トンへと4割まで減少するなど、現在の物価高は明らかに数十年にわたる自民党の失策による影響も含め、物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されない状況にあります。