2025-10-18 コメント投稿する ▼
兵庫県新庁舎650億円に圧縮、斎藤知事の改革で1000億円計画を見直し
建設費に500億円から540億円、県民会館の建設費と合わせた全体の整備費を700億円と見込んでいましたが、物価高騰の影響で2023年度の試算では約1.5倍の1000億円超に膨らんでいました。 就任後の2023年3月、物価高騰により事業費が1000億円を超えると試算し、「新庁舎建設は県民の理解が得られない」として井戸前知事の計画を撤回しました。
前知事時代の700億円計画を圧縮
兵庫県庁舎は主要な1号館から3号館のうち、1号館と2号館が老朽化で耐震性が不足していることが判明しています。阪神淡路大震災クラスの直下型地震が起きた場合、崩壊の恐れがあるとされ、建て替えが急務となっていました。
井戸敏三前知事時代の2019年、県は面積を現状の1.2倍とする新庁舎の構想を発表しました。建設費に500億円から540億円、県民会館の建設費と合わせた全体の整備費を700億円と見込んでいましたが、物価高騰の影響で2023年度の試算では約1.5倍の1000億円超に膨らんでいました。
整備費用では国の補助金や有利な起債を活用し、県の実質負担額は約560億円に抑える計画です。一方で、建て替え期間中の民間オフィスへの移転などの関連経費は約160億円と見込まれ、こちらは当初構想の約60億円から増加します。県は10月21日にある有識者らの検討委員会で提示する予定です。
「650億円でも高すぎる。もっと削減できるはず」
「関連経費が160億円って、当初の60億円から倍以上になってるじゃないか」
「実質負担560億円は評価できるが、もっと透明性が欲しい」
「新庁舎より高校の建て替えを優先してほしい」
「災害時の司令塔として必要な投資だと思う」
斎藤知事の改革路線が結実
斎藤知事は2021年の知事選で県庁再整備構想の見直しを公約に掲げて当選しました。就任後の2023年3月、物価高騰により事業費が1000億円を超えると試算し、「新庁舎建設は県民の理解が得られない」として井戸前知事の計画を撤回しました。
斎藤知事は当初、リモートワークで職員の出勤率を引き下げることで建て替えなしで済ますことを目指すと表明していました。「出勤率4割」の目標を掲げ、新庁舎を建てないことも選択肢としていましたが、実証実験後の県職員アンケートで「在宅勤務で業務効率が低下した」などの意見が多数となりました。
職員の約8割が週2日以下の在宅勤務を希望するようになったことも判明し、2024年11月の再選後は「コンパクトな県庁舎整備」を進める方針に転換しました。外郭団体の新庁舎への入居を見直すなどして行政部門の床面積を縮小する方針も明らかにしていました。
面積3割削減でコスト圧縮
県が公表している見直し後の基本構想骨子案によると、新庁舎は2028年度をめどに着工し、2030年代前半の完成を目指します。新庁舎整備では耐震性が不足している県庁舎1号館、2号館、旧県民会館を解体し、敷地西側の1号館・西館跡地に建てる新庁舎に集約します。
新庁舎の県民会館部分の会議室やギャラリースペースは縮小されます。関係者によると、こうした取り組みで新庁舎などの整備面積は従来の計画から3割程度削減できると県は見込んでいるといいます。
斎藤知事は「防災機能や働き方改革を志向したコンパクトな新庁舎整備に着手する」と述べており、災害時にも対応できる庁舎を目指すとしています。解体によって発生する一時的な執務スペースの不足は、民間オフィスを借り上げるなどして対応する予定です。
議会や県民から根強い批判も
斎藤知事の庁舎建て替え見直しをめぐっては、議会や県民から賛否両論が巻き起こりました。2024年10月、斎藤知事が失職した後、服部洋平副知事が知事職務代理者として「出勤率の概念を取り払い、必要な人員を収容できる新庁舎建設を前提に検討する」との方針を示したことで疑心暗鬼が広がりました。
「知事も決まっていない状況で1000億円規模の庁舎建設を副知事が進めていくのか」「最初からこれ目的であんなに叩いたなんてことないよね」といった批判の声がSNSで拡散しました。斎藤知事を支持する側は「県庁建て替えを巡る利権がパワハラ騒動の背景にあったのではないか」と主張しました。
一方、前尼崎市長の稲村和美氏は知事選討論会で「建設費を抑えながらも新庁舎の建設は必要」との見方を示していましたが、ネット上では「稲村氏は1000億円の新庁舎建設を推進する」という誤った情報が拡散され、ファクトチェック機関から「誤り」と指摘される事態にもなりました。
改革の成果と今後の課題
斎藤知事の行財政改革により、兵庫県の財政基金は震災後30年ぶりに100億円を超え、毎年30億円を貯められる構造改革が実現しました。全国ワーストだった高校予算を増やすなど、若年世代への財政支出に切り替えたことも評価されています。
650億円に圧縮された新庁舎整備費は、当初の700億円計画から約50億円、物価高騰後の試算だった1000億円超からは350億円以上の削減となります。ただし、関連経費が当初の60億円から160億円に増加している点については、今後も精査が必要です。
県は「すべて税金なので県民の理解を得ることが大事だ。災害時も含めて対応できるような、コンパクトな県庁舎のあるべき姿を目指していく」としています。フリーアドレス制やテレワーク、デジタル化といった新しい働き方に合った環境づくりにも取り組む方針です。
兵庫県新庁舎整備を巡る一連の議論は、税金の使い方と既得権益の在り方を問う重要な論点となっています。650億円という巨額の事業費が本当に適切なのか、県民への説明責任が引き続き求められています。