2025-04-22 コメント投稿する ▼
公益通報者保護法改正へ 本村伸子氏が『不当配置にも罰則を』主張、立証責任の転換訴え
本村伸子氏、「被害者を二度と生まないために」決意を表明
衆議院消費者問題特別委員会は4月22日、公益通報者保護法改定案に関する参考人質疑を実施した。日本共産党の本村伸子議員は、通報者が不当な配置転換や嫌がらせにより退職を余儀なくされる実態に強い懸念を示し、立証責任の事業者側への転換と、明らかな配転命令権の乱用に対する罰則導入を訴えた。
同改定案は、公益通報を理由とした解雇・懲戒について刑事罰を導入し、立証責任を企業側に転換する方針を示している。しかし、懲戒に至らない配置転換や嫌がらせに対しては、十分な保護措置が講じられていないとの指摘が相次いだ。
串岡氏の証言、「家族をも巻き込む人権侵害」
本村氏は、闇カルテルを告発した元トナミ運輸社員・串岡弘昭氏に対し、「勇気ある行動が公益通報者保護法の進展につながった」と敬意を表明。続いて、串岡氏の30年に及ぶ閑職への配置、暴力団からの脅迫、同僚からの隔離といった深刻な人権侵害の実態について質問した。
串岡氏は、長期間にわたり過酷な嫌がらせを受け続けたことに加え、家族への精神的影響も甚大だったと涙ながらに語った。この証言に、本村氏は「このような犠牲を誰にも強いてはならない」と強調。不当な配置転換にも明確な法的制裁が必要だと訴えた。
弁護士からも立証責任転換の必要性を指摘
参考人として招かれた志水芙美代弁護士は、公益通報後に受ける不利益処分について、「被害者側が裁判で勝訴するのは至難の業だ」と現状を説明した。その上で、明らかな不利益変更については、企業側が正当性を証明する仕組みに改めるべきだと指摘。法案の修正による保護強化を求めた。
志水弁護士は「通報者が安心して声を上げられる社会をつくるためには、単なる懲戒だけでなく、不利益な異動や業務内容変更についても包括的な保護が不可欠だ」と訴えた。
公益通報者保護法改定案、今後の論点
今回の質疑では、公益通報後の「懲戒処分」だけでなく、「不当な配置転換」「嫌がらせ行為」といった間接的な圧力に対する対応が大きな焦点となった。特に、
- 配転命令権の乱用に対する罰則導入
- 配転・嫌がらせによる退職強要も違法として認定
- 立証責任を労働者ではなく事業者側に転換
といった提案が注目を集めている。
公益通報制度の信頼性を高めるためには、通報者の身の安全と生活の安定が不可欠だ。法改正にあたり、単なる理念の明記にとどまらず、実効性ある救済措置を設けることが、今後の国会審議で問われることとなる。
- 本村伸子氏が公益通報者への「不当配置」罰則導入を主張
- 串岡弘昭氏が30年にわたる配置転換と嫌がらせ被害を証言
- 志水弁護士も立証責任の転換を求め法案修正を提言
- 今後の審議で「嫌がらせ・配転」への法的対応強化が焦点