2025-04-17 コメント投稿する ▼
本村議員、不当な配置転換も刑事罰対象に 公益通報者保護法の改正で政府に迫る
公益通報者保護法改正案:解雇・懲戒に刑事罰、不当な配置転換は対象外
2025年4月17日、衆議院消費者問題特別委員会において、日本共産党の本村伸子議員は、公益通報者保護法改正案に関し、通報者への不利益な取り扱いとして不当な配置転換や嫌がらせも刑事罰の対象に含めるよう求めた。しかし、政府側は現時点での対応に慎重な姿勢を示している。
改正案の概要と背景
政府が提出した公益通報者保護法の改正案では、通報を理由とした解雇や懲戒処分を行った事業者や関与した個人に対して刑事罰を科すことが盛り込まれている。具体的には、法人に対しては3000万円以下の罰金、個人に対しては6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。また、通報者が解雇や懲戒処分を受けた場合、通報と処分との因果関係の立証責任を事業者側に転換する措置も導入される。
この改正案は、通報者が安心して不正を報告できる環境を整備し、企業の自浄作用を促進することを目的としている。
配置転換や嫌がらせの扱い
本村議員は、公益通報者保護に取り組む中村雅人弁護士の「公益通報者保護法の裁判実務で一番多いのは配置転換や嫌がらせだ」との発言を紹介し、解雇や懲戒処分だけでなく、不当な配置転換や嫌がらせも刑事罰の対象に含めるよう主張した。彼女は、解雇と懲戒に刑事罰の対象を限定すれば、「通報者に対する配置転換や嫌がらせによって退職に追い込み、事実上解雇と等しい結果をもたらす」動きに拍車がかかると警告した。
これに対し、伊東良孝消費者担当相は、「主観や事情に依存する部分が大きく、罰則は困難」として、配置転換や嫌がらせを刑事罰の対象に含めることに否定的な見解を示した。日本の雇用慣行であるメンバーシップ型雇用では、定期的な配置転換が一般的であり、通報との因果関係を客観的に判断することが難しいとされている。
兵庫県の事例と今後の課題
本村議員は、兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑を告発した元西播磨県民局長が自死した事件を取り上げ、斎藤知事の対応が公益通報者保護法違反とされた県の第三者委員会の報告書に言及した。彼女は、このような事件を二度と起こさないように法改正を求めた。
また、公益通報者保護法の周知徹底、通報対応の体制づくり、通報者の保護や、通報内容の当事者が調査に関与しないこと、通報者探索の禁止、通報内容の秘密の保持、第三者による常設の検証機関の設置が必要だと訴えた。
伊東消費者担当相は、第三者機関の設置について「法改正施行後の状況を注視する」と述べるにとどまり、それ以外の項目については「いずれも非常に重要」と答弁した。
公益通報者保護法の改正案は、通報者を保護し、企業の不正を是正するための重要な一歩である。しかし、不当な配置転換や嫌がらせといった、より微妙な不利益な取り扱いについては、今後の課題として残されている。政府は、法改正施行後の状況を注視し、必要に応じてさらなる法整備を検討する方針である。
- 公益通報者保護法改正案では、通報を理由とした解雇や懲戒処分に対して刑事罰を導入。
- 不当な配置転換や嫌がらせについては、刑事罰の対象から除外。
- 本村議員は、配置転換や嫌がらせも刑事罰の対象に含めるよう主張。
- 政府は、配置転換の判断が主観的であることや、日本の雇用慣行を理由に慎重な姿勢。
- 兵庫県の事例を踏まえ、通報者保護の強化や第三者機関の設置などが今後の課題。
- 政府は、法改正施行後の状況を注視し、必要に応じてさらなる対応を検討。