2025-04-08 コメント投稿する ▼
“たった1人の看護師では守れない” 本村議員が常勤配置の必要性訴え
半数の施設にしか看護師がいない現実
全国には154の一時保護所があるが、看護師が配置されているのはそのうち82カ所、全体の約53%にとどまる。しかも、多くは会計年度任用職員などの非正規雇用。常勤ではなく、必要なケアを十分に提供できない実態がある。
現場では医療的ケアが必要な子どもも少なくない。本村議員は「命を守るための最低限の人員配置すら、今の制度では確保されていない」と指摘。こども家庭庁に対して、看護師の配置状況と子どもの健康状態の実態調査を求めた。
「1人」では足りない現場からは切実な声
現行制度では「1人以上の看護師配置」が基準とされているが、実際には施設の定員が20人でも50人でも1人というケースが少なくない。24時間体制での対応が求められる中、これでは明らかに人手不足だ。
本村氏は「例えば、子ども10人に対して看護師1人」「3人以上配置して24時間交代制を可能にする」など、より実態に即した配置基準を児童福祉法に明記すべきだと提案。また、現場経験のある看護師が政策決定に関われる仕組みの構築も訴えた。
こども家庭庁は慎重な姿勢
これに対し、三原じゅん子こども政策担当相は「必要に応じて現場の専門職の意見をうかがいながら、児童虐待防止の取り組みを進めていきたい」と述べ、一定の理解を示しつつも、具体的な配置基準の明記には慎重な姿勢を見せた。
現場の看護師たちが訴える「配置は義務に」
議論を後押ししているのが、実際に保護所で働いた経験のある看護師たちの声だ。元一時保護所の看護師で、現在は大学講師を務める三浦由佳さんは、「ほとんどの施設で看護師は一人。夜勤のたびに命を守れるか不安だった」と語る。
三浦さんたちは、看護師の配置を法律で義務づけるよう求める署名をこども家庭庁に提出。施設ごとに「1人」ではなく、子どもの人数に応じた人員配置と、交代制勤務による24時間体制を実現するよう強く求めている。
制度改正は進むが、完全実施は先の話
実は2024年、内閣府令によって看護師配置は「必置」と定められた。しかし5年の猶予期間が設けられ、すべての施設で配置が義務づけられるのは2029年4月。まだ4年も先の話だ。
さらに、政府は児童福祉法改正に向けた動きも進めているが、肝心の看護師配置基準については今のところ明文化されていない。現場の声をどう反映させていくのかが、今後の大きな課題だ。
- 一時保護所では約半数の施設にしか看護師が配置されていない
- 看護師がいても非正規が多く、常勤体制は整っていない
- 本村議員は児童福祉法に具体的な配置基準を明記するよう求めた
- 現場の看護師からも「1人では足りない」と切実な声
- 看護師配置「義務化」は決定済みだが、実施は2029年4月から
- 政府は「専門職の意見を聞きながら」と慎重姿勢