2025-11-26 コメント投稿する ▼
本村伸子議員、買春者処罰求め売春防止法改正議論に
法改正の目的は、性売買をめぐる力関係や人権侵害の構造を見直し、性売買の当事者の尊厳を守る制度に転換することです。 本村氏は、性売買の当事者の尊厳を守るためには「買う側」を処罰対象にするべきだと主張します。 さらに、性売買によって「売る側」の尊厳が害されるとしても、買う側まで罰することは「国民の自由を不当に制限する可能性」があるとの懸念を示しました。
「買う側を処罰」の提案
日本共産党の衆議院議員、本村伸子氏は2025年11月26日の衆院法務委員会で、現在「性を提供する側」だけを処罰対象としている売春防止法の改正を強く求め、「性を買う側=買春者も処罰の対象にすべきだ」と訴えました。法改正の目的は、性売買をめぐる力関係や人権侵害の構造を見直し、性売買の当事者の尊厳を守る制度に転換することです。現行法が「売る側」に重きを置きすぎており、性を買う側に対する罰則がない点を問題視しています。
本村氏は、性売買の当事者の尊厳を守るためには「買う側」を処罰対象にするべきだと主張します。性暴力や強要などの事実があっても、現在の制度では「売る側」が泣き寝入りせざるを得ない状況があるとして、「力関係を変えなければならない」と迫りました。
政府側の慎重姿勢と正当化
これに対し、平口洋法相(法務大臣を兼務)は、「売春防止法は性売買による『風紀の乱れ』を理由にしており、現行の規制は必ずしも不合理ではない」と述べ、買う側処罰については慎重な姿勢を崩しませんでした。さらに、性売買によって「売る側」の尊厳が害されるとしても、買う側まで罰することは「国民の自由を不当に制限する可能性」があるとの懸念を示しました。また、刑事法の担当者である刑事局の佐藤淳局長も、性売買の被害として人権侵害的な法益の侵害があるのは「女性が売春する場合だ」と明言し、現在の制度の枠組みのままでは「買う側」の処罰を導入する根拠が十分でないとの見解を示しました。
このように、買春者処罰の導入には政府内で慎重論が根強く、法務省側は制度変更の必要性を否定していませんが、即時の改正には消極的です。
日本の制度モデルと国際的な議論
日本の売春防止法は1956年に制定され、「売春行為禁止」「斡旋の処罰」「売る側の保護・更生」という形で運用が始まりました。実質的には、「売る側=女性など当事者」「買う側=男性客」が対象の典型的な「旧来型廃止主義モデル」に近い制度です。売る側への補導や処罰に加えて、表向き「売春行為そのものは禁止」であるものの、実際には性的サービス産業(性風俗産業)が広く存在し、膣性交以外の性サービスが黙認されるという制度運用の矛盾が指摘されてきました。
近年、欧米などで「買う側処罰」を導入する「北欧モデル」が注目され、性の売買を「暴力」「搾取」と捉えて買う側を罰することで、性産業の根絶、あるいは縮小を狙う国もあります。一方で、このモデルにも「地下化による被害の隠蔽」「当事者の人権・安全の把握困難」といった課題があります。
日本でも、買春処罰や性産業のあり方をめぐる議論は徐々に活発化しており、売買双方の処罰、あるいは売る側の保護と支援を重視する「支援型/人権重視型モデル」への転換を求める声が一定数あります。ただし、「非犯罪化」や「合法化」を主張する議員は少数で、現時点では「買う側処罰を含む売春防止法の見直し」が議論の中心となっています。
論点と今後の焦点
買う側を処罰対象とすることには、性搾取や暴力の構造を断つという強い意義があります。性を買われる側の尊厳、身体・健康の安全、そして性暴力や強要の抑止――これらを制度的に守るための法改正は、社会の倫理と人権の視点から見て正当な提案です。
しかし、政府側が指摘するように、買う側処罰には「個人の自由の制限」「取り締まりの実効性」「地下化による新たな被害の隠蔽」のリスクがあります。さらに、性産業に関わる人々の実態把握、支援体制の整備が不可欠です。
本村氏が求めるように、まずは性売買・性搾取の実態調査を行ったうえで、「個人の尊厳を守る立場での法改正」を検討することが健全な出発点でしょう。国会での議論、そして社会の合意をどう形成していくかが、今後の焦点となります。
強調すべきは、性売買の問題は単なる道徳や風紀の問題ではなく、人権と尊厳、そして安全をめぐる深刻な社会課題だということです。買う側処罰の導入という提案は、制度の大きな転換を意味します。そこに社会の理解と準備が伴うかどうかが、問われています。
買春者を処罰対象にするか――日本の性売買規制は、今まさに岐路に立っています。