2025-11-19 コメント投稿する ▼
手話施策推進法後も通訳配置・周知遅れ 塩川鉄也議員が国に実態追及
日本共産党の衆議院議員、塩川鉄也氏は2025年11月19日の衆議院内閣委員会において、6月に成立した手話に関する施策の推進に関する法律(以下「手話施策推進法」)に基づき、各省庁の審議会や要請の場において手話通訳者を配置し、かつその配置について各省庁のホームページ(HP)等で事前に周知するよう国に求めました。
手話施策推進法の実効性、国の対応まだ“把握外”
塩川鉄也議員が政府に質問、各省庁HPでの案内促す
情報保障強化の現状と課題、手話通訳配置・周知の実践へ
手話通訳配置と周知の課題浮上
日本共産党の衆議院議員、塩川鉄也氏は2025年11月19日の衆議院内閣委員会において、6月に成立した手話に関する施策の推進に関する法律(以下「手話施策推進法」)に基づき、各省庁の審議会や要請の場において手話通訳者を配置し、かつその配置について各省庁のホームページ(HP)等で事前に周知するよう国に求めました。
同法案の質疑段階で塩川氏が「手話通訳者の手配を政府が負担する形で実施すべきだ」と要求したことを受け、内閣府が6月25日付で各省庁に対し、審議会等への手話通訳者配置など、聴覚障害者への適切な情報保障を実施するよう事務連絡を出しています。
しかし、塩川氏が各府省庁に対応状況を問い合わせたところ、ホームページで「手話通訳を手配可能」と明示していたのは、内閣府の障害者施策担当部のみであったと指摘しました。国全体としての把握・管理状況が明確でない点を「重大な遅れ」と位置づけています。
法律の目的と施策項目、現実とのギャップ
手話施策推進法は、2025年6月18日に衆議院本会議で全会一致により可決・成立し、6月25日に公布・施行されました。同法では、手話を使用する者にとって日常生活・社会生活を営むうえで「言語その他の重要な意思疎通のための手段」であると明記され、国および地方公共団体には、手話の習得・使用、手話文化の保存・継承・発展、国民の理解と関心の増進といった施策を総合的に推進する責務が課されています。
具体的には、学校教育における手話通訳等の支援(第7条)、職場・地域環境の整備(第9条・第10条)など多岐にわたる義務や目標が設定されています。
このように法制度上の枠組みは整っているものの、今回の議員質疑で明らかになったのは、省庁レベルでの手話通訳配置・周知の実践に遅れが生じているという実情です。
国の対応把握せず、実務と整合せず
答弁に立った 黄川田仁志内閣府担当大臣は、各省庁の手話通訳者配置・周知状況を「把握していない」と率直に述べました。その上で、手話通訳者を希望する障害のある傍聴者に対し合理的配慮をする必要性を認めたうえで、ホームページ案内の記載例を示すなどして、各省庁に改めて通知を行う意向を示しました。
だが、事務連絡を出しているだけでは「実務として定着しているか」「ホームページで明確に案内しているか」という点について確認がなされておらず、制度設計と現場運用の間にズレがあるという印象を否めません。
手話通訳配置・周知が遅れると障害者の情報アクセスに影響
今回の問題は、手話を使用する聴覚障害者にとって“声なき声”になりかねない重大な課題です。手話通訳が配置され、またその旨が予め明示されていなければ、傍聴者・参加者が「手話通訳が必要です」と申し出る余地を知らないまま、情報から除外されるおそれがあります。
実際、内閣府が開催する障害者政策委員会でも、手話通訳・要約筆記の運用について「字幕に専門用語が多くて意味がつかめない」「手話通訳も時々戸惑っている様子がうかがえる」という指摘が出ています。
つまり、配置・周知だけでなく、通訳の質・環境の整備も問われているわけです。
政治・行政の視点から――制度は出来ても運用が後回し
塩川氏の追及は、まさに「制度ができたからあとは個別対応任せ」という“運用後回し”の構図を浮き彫りにしました。法改正によって「国と地方に責務あり」と明記された以上、言い訳は通りません。制度設計に賛成した以上、運用責任と検証責任を国が負うことが必須です。
また、障害分野の情報保障に関しては、「配慮すればよい」という曖昧な対応ではなく、手続き・窓口・案内の仕組みを明文化、可視化し、実践可能な形に整備することが求められます。今回はホームページによる案内が焦点になりましたが、案内がなければ当事者が申請・要望することさえ知らないままです。
今後の焦点と課題提示
まず、各省庁は「事前連絡あれば手話通訳を配置します」といった案内を自省のホームページで明示すべきです。塩川氏は、この点を「国の負担で実施すべき」と強調しています。次に、内閣府及び関係省庁は、各省庁の手話通訳配置・周知状況について実態調査・公開を行うことが不可欠です。第三に、手話通訳者の配置だけでなく、通訳の質・研修・支援環境を整えることで、実効的な情報保障を実現する必要があります。
最終的には、手話を必要とする人々が行政の場で安心して参加できる“参加の権利”が保証されなければ、法の名だけが先行し、「言語としての手話」「文化としての手話」という理念は形骸化しかねません。制度の成立を“通過点”と捉え、運用への本気度が問われています。