2025-12-10 コメント投稿する ▼
豊見城市レンタカー税導入検討、全国初の法定外税で観光公害対策へ
豊見城市でレンタカー税導入へ動き、生活道路の渋滞・混雑対策が急務沖縄県豊見城市は2025年12月9日の市議会で、深刻化するレンタカー急増問題への対策として全国初の「レンタカー税」導入検討を本格化しました。那覇空港に隣接する同市では、県民の生活道路が観光客のレンタカーによる慢性的な渋滞に悩まされており、経済効果を上回る深刻な社会問題となっています。
レンタカー事業者急増で県民生活を圧迫
豊見城市では2019年度からの5年間でレンタカー事業者の数が3倍に増え、車両数も約2倍となる1万7000台あまりとなっています。那覇空港に近い地理的条件から同市はレンタカー産業の一大集積地となりましたが、その代償は想像以上に深刻です。
コロナ禍以降の観光需要の回復を受け、沖縄県内のレンタカー台数が増加している。中でも那覇空港に近く、土地利用がしやすい豊見城市では2021年度から3年間で車両数が2倍超と激増しており、沖縄全体の約3割が同市に集中している状況です。
特に深刻なのは住民の生活環境の悪化です。住宅地や畑が車両置き場となり、通行車両の増加で地域問題に発展している状況で、農村地帯だった与根地区では住宅地の合間や田畑だった土地が車で埋め尽くされるようになったといいます。
「レンタカーは危ない運転が目につくね。事故もレンタカー絡みが多い傾向にあると思う」
「インバウンドでのレンタカー需要を想定してないんだから渋滞するのは当たり前」
「空港の客待ちレンタカーなんとかならないの?家族を空港に送る時に降ろせずに困りました」
「県民の生活道路が観光客のレンタカーで混雑するのは本末転倒だと思います」
「観光収入より渋滞による経済損失の方が大きいのでは?」
年間1455億円の経済損失、レンタカー税で対策財源を
沖縄県では交通渋滞による経済損失が深刻な問題となっています。深刻な交通渋滞によって県全体で年間1455億円に相当する経済的損失があることが沖縄総合事務局の試算で分かったという数字は、観光による経済効果を大きく減じる要因となっています。
県民1人当たりが渋滞に巻き込まれた時間は、年間で55時間に達しており、この時間的損失を金額換算すると1人当たり年間約9・8万円の損失に相当する計算です。
大田善裕議員は市議会で、「観光立県として光と影の部分がくっきりしてきた中でそれを補正する1つの策がレンタカー税である」と述べ、観光公害対策の必要性を強調しました。
全国初の法定外税導入で持続可能な観光を
豊見城市が検討するレンタカー税は、自治体が条例によって独自に新設する「法定外税」で市によりますと、導入されれば全国初となります。これまで法定外税として「宿泊税」: 東京都(2002年施行)、大阪府(2017年施行)、京都市(2018年施行)、金沢市(2019年施行)などが導入されてきましたが、レンタカーを対象とした課税は前例がありません。
同市は今後、有識者や関係機関でつくるワーキングチームを設置するなど、導入に向けた調査・研究を進める方針を示しており、具体的な制度設計に入ります。
持続可能な観光への転換点
沖縄のレンタカー業界では供給過剰による価格競争が激化しており、料金の暴落で最安値はなんと4500円、1日あたり1500円ですという異常事態も発生しています。この価格競争は質の悪いサービス提供者の参入を招き、住民生活への悪影響をさらに拡大させる恐れもあります。
県全体で見れば、「全国一低い労働生産性に交通が一定の悪影響を及ぼしている」状況であり、観光産業の発展と住民生活の調和を図る転換点に立たされています。豊見城市のレンタカー税導入検討は、観光地が直面する「オーバーツーリズム」問題への実効的な対策モデルとして、全国の観光地から注目を集めています。