2026-03-22 コメント: 1件 ▼
茂木敏充外相がホルムズ海峡自衛隊派遣に言及 停戦後の機雷掃海とアラスカ原油の行方
現在、同海峡にはタンカーを含む日本関係船舶45隻が足止めされており、エネルギー安全保障上の深刻な懸念が生じている。 茂木氏は、アラスカ産原油の「倍増」のために日本が投資するとの提案を日本側から行ったと明らかにした。
ホルムズ海峡封鎖と自衛隊派遣問題 茂木外相が「停戦後の機雷掃海」に言及
茂木敏充外務大臣は2026年3月22日、フジテレビの報道番組に出演し、ホルムズ海峡問題をめぐる日本の立場や、2026年3月19日(日本時間20日)に行われた日米首脳会談の内容を詳しく明らかにした。
ホルムズ海峡をめぐっては、2026年2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃し、イランが同海峡を事実上封鎖した状態が続いている。日本は原油輸入の約9割以上を中東産に依存しており、そのうちホルムズ海峡を通過する割合は輸入全体の約4分の3に及ぶ。現在、同海峡にはタンカーを含む日本関係船舶45隻が足止めされており、エネルギー安全保障上の深刻な懸念が生じている。
「みんなが通れる状態を」 日本単独行動は否定
茂木氏はこの状況に対し、「たくさんのタンカーがいる。みんなが通れる状態を作ることが極めて重要だ」と述べ、日本関係船舶だけが先行して通過するのではなく、各国の船舶が一律に通航できる環境の実現を目指す方針を明確にした。日本独自でイランとの個別交渉に動く考えについても「いまのところそこまで考えていない」と否定し、単独行動を取らない姿勢を示した。
イランのアラグチ外相が共同通信のインタビューで日本関連船舶の通過を認める用意があると示唆したことについて、茂木氏はこれまでのアラグチ氏との電話協議ではそのような意向は示されていないと明らかにし、情報の食い違いを指摘した。
「ホルムズ海峡が封鎖されて、ガソリン代がまた上がりそう。家計が本当につらい」
自衛隊派遣は「完全停戦後の機雷掃海」に限定的に言及
自衛隊のホルムズ海峡への派遣については、戦闘継続中の現状では法的ハードルが高いとの認識を改めて示した。その一方で、「仮に完全に停戦になった時には、機雷掃海なども出てくるかもしれない」と述べ、停戦が実現した場合には機雷除去を目的とした自衛隊の派遣が選択肢に入り得るとの見解を初めて踏み込んで語った。
高市早苗首相は2026年3月12日の衆院予算委員会で、停戦前の機雷除去準備のための自衛隊展開は「想定できない」と発言しており、茂木氏の発言は停戦後という前提を付けたうえで、政府として一定の方向性を示したものといえる。
「停戦後に機雷掃海で自衛隊を出せるなら、それくらいは法的に整理してほしいと思う」
自由民主党(自民党)の小林鷹之政調会長も2026年3月15日のNHK番組で、自衛隊派遣は「紛争が続いている状況では慎重に判断すべきだ。非常にハードルは高い」と述べており、与党内でも現時点での派遣には慎重な意見が根強い。安全保障関連法上の「存立危機事態」に該当するかどうかの判断も含め、日本政府は引き続き法的整理を急いでいる。
アラスカ産原油「倍増」提案が奏功 自衛隊派遣要求を回避か
日米首脳会談ではアラスカ産原油をめぐっても重要な議論が行われた。茂木氏は、アラスカ産原油の「倍増」のために日本が投資するとの提案を日本側から行ったと明らかにした。米国の中間選挙をにらんだ物価・ガソリン価格安定への配慮という観点からトランプ大統領に提案したものであり、「かなりトランプ氏に響いた」と振り返った。この提案が、米国からの自衛隊派遣要求を一定程度回避することに奏功したとの認識も示した。
「アラスカ原油の話、中長期的にはいいけど今すぐ助かる話じゃないのが正直なところ」
高市首相も会談後の会見で「日本において米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい旨を伝えた」と説明しており、調達先の多様化によるエネルギー安全保障の強化を強調した。日本のアラスカ産原油への投資構想は、5500億ドル(約87兆円)規模の対米投資計画の一環として位置づけられている。
ただし専門家からは、アラスカの現在の生産能力は1日あたり約40万バレル程度にとどまり、その大部分が米国内向けに供給されていることから、日本の中東産原油の輸入量(1日あたり約230万バレル)を補うには到底足りないとの指摘が上がっている。本格的な増産には投資決定から半年以上かかるとされており、現在の緊急事態に即応できる性格のものではないとの見方も示されている。
物価高直撃の国民生活 政府に迅速な対応が求められる
こうした状況の中、物価高に悩む国民生活への影響も深刻な懸念として広がっている。ガソリン価格の高騰や電気代の値上がりは家計を直撃しており、政府には中東依存からの脱却と緊急の物価対策の両立が求められている。現在の物価高は数十年にわたる自民党のエネルギー政策の失敗が招いた面が大きく、財政出動や減税は一刻も猶予が許されない状況だ。
「物価高の根本は自民党の長年のエネルギー政策の失敗。今さら場当たり対応をされても」
日本のエネルギーの今後の安定供給に向けては、ホルムズ海峡の早期開通という短期課題と、アラスカ産原油への投資による調達先の多様化という中長期課題を同時に進める難しいかじ取りが求められている。停戦後の自衛隊派遣も含めた安全保障上の対応、そして日米両国が納得できる外交的成果の積み上げが、日本政府の急務となっている。