2026-01-11 コメント投稿する ▼
外務省がイラン全土の危険レベル引き上げ デモ過激化で渡航中止勧告
外務省が2026年1月11日、イラン全土の危険情報レベルを引き上げました。首都テヘランを含む全地域をレベル3以上とし、渡航中止を呼びかける措置に踏み切りました。2025年12月28日から始まった経済的困窮を背景とする抗議デモが全国に拡大し、デモの過激化、インターネット遮断、国際便の減便などが続いているためです。
深刻化する経済危機と通貨暴落
2025年末から2026年初頭にかけて、イランの通貨リヤルは急激に下落しています。2025年12月29日には過去最安値となる1ドル140万リヤルを記録し、2026年1月6日には150万リヤルまで暴落しました。これは、日本円換算で1ドル約160円として計算すると、1万リヤルあたり約1円という驚くべき水準です。
インフレ率も深刻です。2025年12月のインフレ率は前年同月比で42.2%に達し、食料品価格は72%も上昇しました。米や肉、卵といった生活必需品の価格が急騰し、一般家庭では鶏肉さえ買えない状況が報じられています。ある家庭では伝統行事に必要なナッツ類やフルーツが食卓から消えたといいます。
テヘランから全国へ広がる抗議
抗議活動は2025年12月28日、テヘランのグランドバザールで通貨暴落に怒った商人たちが始めました。その後、イスファハン、シーラーズ、マシュハドなどの主要都市に広がり、2026年1月初旬には全国31州のうち28州、310か所以上でデモが発生しています。
参加者は当初、経済的不満を訴えていましたが、次第に体制批判へと発展しました。「独裁者に死を」「最高指導者ハメネイー師を倒せ」といった反政府スローガンが叫ばれ、2022年のマフサ・アミニさん死亡事件以来、最大規模の騒乱となっています。
「もう生活できない。米も卵も買えなくなった」
「政府は国民より外国支援を優先している」
「こんな経済状況で子どもの未来が心配だ」
「インターネットも遮断されて情報が入らない」
「デモに参加するしか声を届ける方法がない」
治安当局はデモ隊に催涙ガスを使用し、一部では実弾発砲も報じられています。人権団体によると、2026年1月9日までに少なくとも45人が死亡し、2000人以上が逮捕されました。イラン政府はインターネットや国際電話を遮断し、情報統制を強化しています。
外務省の対応と現地の日本人
外務省は2026年1月11日、首都テヘランを含むイラン全土の危険情報をレベル3に引き上げました。レベル3は4段階中2番目に厳しく、「渡航は止めてください」という渡航中止勧告です。パキスタンやイラクとの一部国境地帯は最も厳しいレベル4の退避勧告が継続されています。
イランには200人以上の日本人が滞在していますが、現時点で被害情報はありません。しかし、デモの過激化や国際便の大幅な減便により、出国が困難になる可能性があります。外務省は現地滞在者に対し、抗議活動や集会には近づかず、軍事施設などの撮影を控えるよう呼びかけています。
国際社会の反応
アメリカのトランプ大統領は、イラン当局がデモ参加者を殺害すれば軍事介入も辞さないと警告しました。一方、イラン最高指導者のハメネイー師は「外国への協力者は許さない」と述べ、米国やイスラエルが混乱を扇動していると非難しています。
イラン政府は事態収拾を図るため、ファルジン中央銀行総裁が辞任し、新総裁にヘマティ元経済大臣を任命しました。また、月額7ドル相当の補助金支給を開始しましたが、抗議活動は収まる気配を見せていません。
現在のイラン情勢は予断を許さない状況です。日本人滞在者は最新情報の収集に努め、不測の事態に備えた安全対策が求められます。