2025-04-23 コメント投稿する ▼
ケアマネのシャドウワークを保険外サービス化 財務省が介護負担軽減を提言
ケアマネジャーの負担軽減へ新提言 財務省が保険外サービス化を促す
財務省は4月23日、国の財政健全化を議論する財政制度等審議会・財政制度分科会で、介護保険制度におけるケアマネジャー(介護支援専門員)の役割見直しについて提言を行った。ケアマネジャーの業務負担の増大と人材不足が深刻化する中、従来「シャドウワーク」とされてきた業務を保険外サービスに移行させ、民間事業者との連携を進める方向性を打ち出した。
財務省の提言内容と背景
財務省が提起した主なポイントは以下の通りである。
- ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、無償で行われる「シャドウワーク」が慢性化している
- 業務負担の軽減と収入機会の拡大を目的に、保険外サービスへの移行を推奨
- 民間事業者との連携を促進し、自治体に対しても国の基本指針で方針を示すよう求める
- 介護報酬にインセンティブを付与し、保険外サービス導入を後押しする施策も検討対象にする
財務省は、担い手不足が今後さらに深刻化する見通しであることを踏まえ、「ケアマネジャーの確保と持続可能な制度運営の両立が急務」と強調した。
厚労省の動きとこれまでの経緯
厚生労働省も、ケアマネジャーの負担軽減に向けた動きを進めている。
- 2023年末、ケアマネジャーの業務を初めて体系的に分類
- 「保険外サービスとして対応可能な業務」「他機関に委ねるべき業務」などを整理
- 次期介護保険事業計画(第10期)に向けた基本指針改定を議論中
厚労省の報告書では、日常生活支援や相談業務など、必ずしも保険給付に直結しない作業が「影の業務」として積み重なっている実態が明らかになった。これにより、現場のケアマネジャーからは「業務量に見合わない処遇改善」を求める声が強まっている。
今後の焦点 民間連携と報酬設計
今後の政策検討における焦点は、次の通りである。
- 保険外サービスの範囲と基準をどう定めるか
- 民間事業者参入にあたっての質の確保策
- ケアマネジャー自身の負担軽減と報酬アップのバランス
- 地域間格差をどう是正するか
特に介護報酬のインセンティブ設計は、介護事業者の経営にも直結するため、制度設計の巧拙が現場への影響を左右する。現場関係者からは「保険外業務への適正な報酬支払いがなければ負担が逆に増える」との懸念も出ている。
介護現場の声と課題
介護現場からは、今回の財務省提言に対して期待と不安の両方の声が上がっている。
- 「業務が線引きされることで負担軽減が期待できる」(現役ケアマネジャー)
- 「サービスの質が低下しないか不安」(利用者家族)
- 「地方では民間事業者が十分に存在しない地域も多い」(自治体担当者)
また、保険外サービスの導入により、低所得者層の利用者負担が増える懸念も指摘されている。政府は今後、サービスの質と公平性を担保しながら、制度設計を進める必要がある。