2025-04-04 コメント投稿する ▼
【報復関税も視野に】加藤財務相が米相互関税に言及 自民・大野氏「根拠薄弱で遺憾」
米国の相互関税措置と日本への影響
トランプ大統領は4月2日、全輸入品に対する基本関税率を10%とし、特定の国に対しては追加の関税を課す「相互関税」を発表した。日本には24%の関税が適用される予定であり、これは日本が米国製品に対し実質46%の関税を課しているとの米国側の主張に基づくものだ。この措置により、日本の自動車産業をはじめとする輸出産業への影響が懸念されている。
日本政府の対応と報復関税の可能性
大野氏は、米国の関税措置が根拠に乏しく、極めて遺憾であると指摘し、政府に対し、米国との緊密な連携とともに、関税上のあらゆる選択肢を検討するよう求めた。これに対し、加藤財務相は、一般論としてWTO加盟国に対する報復関税措置の発動は、紛争解決手続きを経る必要があるが、現状ではWTOの一部手続きが機能していないことを踏まえ、可能な限り紛争手続きを経た上で報復関税措置の発動も可能であるとの認識を示した。
野村総合研究所の試算と経済への影響
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、今回の24%の追加関税により、日本の名目および実質GDPが比較的短期間で0.59%低下する可能性があると試算している。さらに、自動車関税を加えると、GDPの押し下げ効果は0.71%から0.76%に達する可能性があると指摘しており、景気後退の引き金となる可能性も考慮すべきであるとしている。
世界的な反応と保護主義の高まり
トランプ政権の関税措置に対し、世界各国から非難の声が上がっている。欧州連合(EU)や中国など、多くの国が報復措置を検討しており、世界的な貿易摩擦の激化が懸念されている。日本政府は、自由貿易体制の維持を重視し、関係各国と連携しながら適切な対応を検討していく方針だ。
今後の展望と政府の対応
加藤財務相は、現時点で具体的な報復措置を決定していないものの、今後の状況次第では関税定率法に基づく対抗措置を検討する可能性を示唆している。政府は、引き続き米国との協議を重ね、WTOルールに則った適切な対応を模索するとともに、国内産業への影響を最小限に抑えるための対策を講じていく考えだ。