2025-03-10 コメント: 4件 ▼
財務省への不信拡大――自賠責保険積立金未返済と抗議デモの実態
財務省前のデモ活動
2024年末から、東京・霞が関の財務省前では、増税や緊縮財政への批判、さらには財務省の解体を求めるデモが断続的に行われています。これらの抗議活動は、特定の政党や団体が主導しているわけではなく、「財務省解体」「国民の敵」といったスローガンがSNSで拡散され、それに共感した人々が集まる形で広がっています。中には1000人を超える規模のデモも発生しています。
2025年3月4日、衆議院財務金融委員会で石破茂首相は、このデモについて質問を受け、「承知している。国民の不満や怒りが表れているものであり、軽視すべきではない。理解を得られるよう、さらなる努力をしていく」と答えました。
自賠責保険積立金の未返済問題
自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するための制度であり、その資金はすべて自動車ユーザーが負担しています。しかし、1994年と1995年に当時の大蔵省(現・財務省)は、この保険の運用益から約1兆1200億円を一般会計に流用しました。
それから30年近くが経ち、2024年度末の時点で、いまだに約5800億円が返済されていません。財務省は2018年度から返済を再開したものの、年間数十億円程度しか返しておらず、このペースでは完済までに数十年、場合によっては100年近くかかると指摘されています。
国民負担の増加と今後の課題
積立金の返済が進まないことで、2023年度からは自動車ユーザーに1台あたり約150円の負担が追加され、実質的な保険料の値上げにつながっています。これに対し、日本自動車連盟(JAF)や交通事故被害者団体などからは、「財務省が積立金を踏み倒そうとしているのではないか」と不信感を募らせる声が上がっています。
今後、政府と財務省は国民の信頼を取り戻すためにも、具体的な返済計画を明示し、一刻も早く完済するよう取り組むことが求められます。