2025-02-03 コメント投稿する ▼
財務省、外資の出資規制強化へ—安全保障リスク対策として新たな審査義務
■外為法の現状と課題
外為法では、安全保障上重要な業種の国内企業に対し、外国の政府や国有企業が株式の1%以上を取得する場合や、海外の投資家が10%以上の株式を取得する場合に、国への事前の届け出と審査が義務づけられています。しかし、発行株式の10%未満の出資で経営に関与しないなど、一定の基準を満たすことで届け出が免除される制度が存在し、これが外国への情報流出を防ぐ上での抜け穴となっているとの指摘がありました。
■規制強化の具体的な内容
財務省は、外国政府の情報収集に協力する義務が課されている企業や投資家を「特定外国投資家」として指定し、株式の1%以上を出資する際に事前の届け出と審査を新たに義務づける方針です。これにより、外国政府に情報提供を行う企業や個人などによる日本の上場企業への投資手続きに関し、規制が強化されます。
■国際的な背景と日本の対応
安全保障の懸念から、海外の多くの国々でも外資の出資に対する規制強化が進められています。特に、中国は2017年に企業に対し国家機関による情報活動への協力を義務づける法律を制定しており、これを念頭に置いた対応と考えられます。日本政府は、外国からの投資が技術や情報の流出の抜け穴となる可能性があるとして、規制強化を求める声が高まっています。
財務省は、外為法の政令などを2025年春にも改正する方針です。これにより、外国からの投資に対する審査体制が強化され、安全保障上のリスクを低減することが期待されています。また、米国財務省も2025年1月から中国を対象に対外投資規制を強化する最終規則を発表しており、国際的な投資規制の強化が進んでいます。